地域・文化:アラビア
ザラタン。
島のように巨大な海亀のこと。アル=ジャーヒズは『動物の書』のなかで次のように述べている。
私は自分の目でサラターンを見たものをひとりも知らない。しかし次のように主張する船乗りたちはいる。彼らが海の小島に沿って進んでいくと、木々の生い茂る谷間や洞穴が見えたので、上陸して大きな焚火をした[この島は、実はサラターンだった]。炎の熱がサラターンの背骨に達すると、この生き物は船乗りたちを乗せたまま、生えている草木もろとも海中へと沈みはじめた。ついには、泳いで逃げることのできた者だけが助かった。
アル=ジャーヒズ自身はこの話を信じていない*1。
なお、普通サラターン(Saraṭān)といえばアラビア語で「かに」か「巨蟹宮」のことである。