ガルダ

Garuḍa

地域・文化:インド、仏教


 別名: スパルナ(スパルニ)(Suparṇi)。
 『翻訳名義大集』によれば、チベット語: Ga-ru-ḍa daṇ ḥdom-na ḥdab-gzaṇ。
 漢語: 空飛、金翅鳥、迦樓、禽王。
 『仏母大孔雀明王経』巻中では大神金翅鳥として夜叉の一人になっている。

『カター・サリット・サーガラ』の物語

 インドの説話には、ガルダ族のなかの無名の多くの巨鳥が、物語の中で巨大な鳥しかできないような役割でもって活躍していることが多い。
 例えばソーマデーヴァの『カター・サリット・サーガラ』「遊女ルーピニカーとその情夫ローハジャンガの物語」では、アラビアのシンドバード物語におけるルフと同じように、知らずのうちに人間を遠い場所に一緒に運んでしまうという役割をおっている。また、もう一羽のほうは主人公の乗り物になっている。

 マトゥラーに、有名なルーピニカーという遊女がいた。彼女のおかみは、ルーピニカーを見る男の目に敏感だった。そんなある日、ルーピニカーは神殿に行く途中に1人の秀麗な男を見かけた。彼はローハジャンガというバラモンで、彼女の召使の誘いにも貧乏だから……と一度は断った。しかしルーピニカーは金銭を要求しなかったので、彼女の誘いに乗ることにした。ローハジャンガはテクニシャンだったのかどうか、ルーピニカーは他の男を相手にすることを拒否するようになった。それをみておかみのマカラ・ダンシュトラーは怒った。「遊女は、貧乏な男を抱くくらいなら死体を抱くもんだ!」。でもルーピニカーは無視した。そこでおかみは、偶然通りかかった浪人と武器を持った部下に、ローハジャンガを追い出すように頼んだ。彼らはあっという間にローハジャンガを追い出してしまった。
 色々つらいことがあったので、ローハジャンガは巡礼に出ることにした。しかし夏なので暑く、木陰を探そうにも見つからなかったので、偶然見つけた、皮だけになってしまった象の死体の中に入り込んだ。象の中は風が通り込んで涼しかった。しかし、にわかに空がかき曇り、大雨が降ってきて皮はちぢんで出口は塞がれてしまい、さらに洪水が起きて象の皮と中のローハジャンガはガンジス川から海にまで流されてしまった。そこを飛んでいたガルダ族の鳥が、皮を腐肉だと思って海の向こうまで運んでいった。鳥がつつくと中から人が出てきたので、鳥は驚いて逃げてしまった。ガルダ族の鳥のつつく音に目を覚まして外に出たローハジャンガは、時分がスリランカにいるということを知って驚いた。また、彼は遠くに2人のラークシャサがいることに気付き、これまた恐れた。しかし、ラークシャサ側も、以前ラーマら人間の軍団がスリランカに攻め入ったことを知っており、ローハジャンガを恐れていた。ラークシャサたちは王ヴィビーシャナに相談し、彼を丁重に取り扱うことに決めた。ローハジャンガは首都ランカーでヴィビーシャナに謁見し、自分がスリランカにきた経緯について、ヴィシュヌ神が捧げ物を運ばせるために自分をこの地へ移した、と嘘をついた。ヴィビーシャナは、この地が人間が容易に来ることができないことを考え、彼の言うことを信じた。そして、マトゥラーへ運ぶためにガルダ族の鳥を与え、しばらくのあいだローハジャンガをランカーにてもてなした。帰るときには王は多くの財宝をローハジャンガに渡し、ガルダ族の鳥を用意した。ローハジャンガはそれに乗り、易々とマトゥラーに、しかも財宝を携えて帰ってくることができた。
 ローハジャンガはまずルーピニカーの家の上を飛び、彼女に自分はヴィシュヌであると偽り、逢瀬を楽しんだ。すっかり信じ込んだルーピニカーは、自分は女神であるとして、またまたおかみマカラ・ダンシュトラーのいうことを聞かなくなった。内心疑ったものの、おかみはルーピニカーに、何か神から施しを受けるよう頼んだ。ルーピニカーはそれをヴィシュヌ(ローハジャンガ)に話したが、ローハジャンガは自分をひどい目に合わせたマカラ・ダンシュトラーに仕返しをしようと考えた。
 彼は鳥に乗り、マカラ・ダンシュトラーを天上に連れて行くと言いつつ、神殿の前の高い石柱に彼女をぶらさげたまま、放っておいたのである。すっかり疲れたマカラ・ダンシュトラーは彼女に気付いたルーピニカーに助けられ、自分の仕業であると明かしたローハジャンガは人々の賞賛を受けたのであった。おしまい。

関連項目


参考資料 - 資料/41:; 資料/102:; 資料/260


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Last-modified: 2011-12-02 (金) 03:47:05 (2926d)