ア・バオ・ア・クゥー

A bao a qu

地域・文化:ジャイナ教


 インドのラジャスターン州ウダイブル郡にあるチトールには多数のジャイナ教寺院や塔がある。そのなかでも15世紀に建立された「勝利の塔」にひそんでいる幻獣。勝利の塔は螺旋階段が円形のテラスに通じている。15世紀に建てられたに関わらず、ア・バオ・ア・クゥーは時の始まり以来、この塔の階段に存在している。
 ア・バオ・ア・クゥーは、この長い階段の最初の階段で眠っているが、人間が近づくと、「内なる光」が輝き始め、半透明に近い皮膚が動き出す。そして、巡礼者が階段を上り出すとこの生き物もついていき、巡礼者が一段一段と階段を上っていくたびにア・バオ・ア・クゥーの姿は実体を帯びてくる。そして、彼の帯びている青い色の光の輝きが増してくる。そしてそれが完全になるのは最上階においてである。巡礼者はそこに至って涅槃に達する。この生き物はもはやいかなる影も投じない。ア・バオ・ア・クゥーも完全な姿となる。ア・バオ・ア・クゥーは全身で見ることができ、桃の皮のような感触だともいう。しかし、彼が完全な姿になったことがあるのは一度しかない。もし巡礼者が降りると、この生き物も降りる、落ちる。彼の実体は薄れていき、青い光はかすれ、苦痛によって悲鳴を上げる。しかし、この生き物の悲鳴はほんの微かであり、人間には到底聞こえ得ない。彼は最下段まで転がり落ちると、そこで今度こそ真理の探求者を待つのである。

 ボルヘスによれば、バートンの『千夜一夜物語』注釈にある。
 しかし実際はこの物語はインドではなくマレーシアの神秘主義に登場する精霊のような存在・・・らしい。インドだとしたのは柳瀬日本語訳だけである。

関連項目


参考資料 - 資料/197:


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Last-modified: 2008-08-20 (水) 14:10:16