ケレメト

Keremet

地域・文化:マリ


 別称:クグザ(kuguza「老人」)、クグ・イェン(kugǝ jeŋ「 偉大な人」)、クグラク(kugǝrak「王子」)、../ボドジュ

 強大な力を持つ悪霊のこと。
 ユム(神)の永遠なる敵対者であり、また、兄弟であるともされる。両者は常に戦っているという。
 マリの人々は、積極的にケレメトについて話そうとはせず、とくに外部の人間に対しては決して語ろうとしない。基本的には、ケレメトは人間に災厄や病気をもたらす存在であるが、極まれに、人間に富を与えたとか漁師に幸運を与えたとかいった話も報告されている。

 精霊であるケレメトは、もともとは人間だったという。ある伝説によれば、伝説的な英雄が死後ケレメトになった。しかし、多くの場合、ケレメトは生前悪事を働いていた人間が、その悪意を死後もケレメトとして存続させているものだと考えられた。また、ケレメトは靭皮を樹に巻いて、そこに生贄を捧げることによって作り出す事ができるといい、また、唾からもケレメトが生まれるという。別の伝説によれば、ケレメトはタタール人であったともいう。
 ケレメトは悪霊ではあるが、神々と同じように生贄を捧げられ崇拝され、その悪意を鎮めるような祭儀が行われていた。神々への生贄とケレメトへの生贄の違いは、前者が「上向」で後者が「下向」であることだと説明されている。定期的な生贄は、大勢の人々によって年ごとに行われる。この公的な生贄は司祭が執り行う。このとき生贄としてふさわしいのは「馬」だが、その他の動物でも捧げられる。個人的な生贄は、ケレメトが起こした病気を治癒するために行われる。こちらのほうの祭儀は、祭儀についての知識がある人間や、その関係者が行うことも可能である。ケレメトたちは神々と同じ木立では崇拝されないが、同じ名前のケレメトという木立を所有している。
 ケレメトの中には、不特定多数の人々によって崇拝されているものもあれば家族単位で崇拝されているものもあり、後者はシュケ・ケレメト(Ške Keremet「独自のケレメト」)、シュケナム・オンチュム・ケレメト(Škenam ončǝmǝ Keremet「我々を大切に扱うケレメト」)と呼ばれる。このケレメトがいる家族は、ほかの家族のケレメトに生贄を捧げることはない。しかし、複数の家族に関係がある人はその家族の分だけ生贄を捧げることになる。
 呪術師は、呪いをかけたいと思う人の衣服の一部や髪の毛の一房をケレメトの木の下に置くことにより、病気を起こさせ、そして死に至らしめることができる。

関連項目


参考資料 - 資料/338:


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Last-modified: 2018-10-18 (木) 06:33:11 (219d)