エノトコイトイ†
Enōtokoitoi
地域・文化:古代ギリシア
エノートコイトイ。
「耳で寝る者たち」。
最初にインドを訪れたとされるギリシア人スキュラクス(前5世紀前半)が報告する、インドの怪人種。布団のかわりにできるほど巨大な耳を持つ種族だと思われる。
スキュラクスの著作は現存しておらず、上記の情報は彼を間接的に引用するビザンツの作家ツェツェスの『キリアデス』VII.638によるもの。
なお、写本に従うとこの部分はヘノティクトンテス(Henotiktontes, Ἑνοτίκτοντες)となり、これだと「一回孕むものたち」という意味になる。生涯に一度しか子供を産まない種族ということである。エノトコイトイとしたのは19世紀のT・キースリングで*1、現代でもJ・ロムなどはこの「訂正」を受け入れているが*2、あまり説得的ではないようである*3。
ストラボンはメガステネスの証言としてエノトコイトイの話を引用しているが、彼自身はまったく信じていないようである(『地誌』15.1.57)*4。
関連項目†
参考資料 - 資料/149: 85