アクタイオンの犬†
地域・文化:古代ギリシア
鹿に変身させられた猟師アクタイオンを食った、アクタイオンの猟犬たち。
どういう理由からか、これらの犬の名前が非常に多く知られている。
以下は、ヒュギヌス『神話集』181による(オウィディウス『変身物語』にあるものは、また別項目で扱う)。このうちメランカエテス、アグレ、テリダマス、オレシトロポスは雌犬。
なお、この項目の参考文献である講談社学術文庫版の日本語訳ヒュギヌスでは、原語はラテン語だが、名称はすべてギリシア語に変えられている。この事典では原語を尊重し、日本語訳の表記は差異がある場合に限って「ギリシア語表記」と別記した。長音もそのままにした。
・物語
アクタイオンは、運が悪い男だった。
ある夏の日、女神アルテミスはキタイロン山麓にあるガルガピエという谷間で狩りをしていた。頑張っていたので疲れた女神は、パルテニオスという名前の泉で水浴をし、一休みをしていた。
ちょうどその暗いガルガピエ谷で、カドモスの孫にしてアリスタイオスとアウトノエの息子であるアクタイオンも狩猟をしていた。彼とその猟犬もまた野獣を追っていたのである。いい加減疲れたので、アクタイオンとその猟犬たちは泉を探していた。すると、運悪く女神が全裸で水浴びしているところを目撃してしまったのだ。(伝説によると、このあとアルテミスを犯そうとした、とも言われているが、単に見ただけだ、という説もある。)
どちらにしても女神のタブーを破ったアクタイオンは、そのことを他言できないように頭に角を生やされ、そして雄鹿に変身させられてしまった。
その上、自分の猟犬たちにずたずたに噛み殺されてしまったのである。
関連項目†
参考資料 - 資料/178:246-48; 資料/465:150-51