デーウ

δēw
δyw

地域・文化:ソグド


 ソグド語における「悪魔」のこと。古代イラン語のダエーワやダイワ、中期イラン語のデーウと同系統。
 ソグド語のネイティヴも、ソグド語を使っていた仏教徒やマニ教徒やキリスト教徒も(中世の中央アジアでは、ソグド語が共通言語だった)デーウを「悪魔」の意味で使っていたらしい。

 しかしながらW・H・ヘニングなどの学者は、少なくともソグディアナの一部地域では、デーウがソグド語の祖語にあたるインド・イラン祖語時代の意味である「神」を保ったままだったのではないか、と考えた。たとえばδywγwn(*daiwa-gauna)は確実に「天上の」を意味する。さらに、王の名前にデーワーシュティーチ(Δēwāštīč)というのがあり、表面的には「悪魔的」を意味する(マニ教ソグド語では、形容詞δyw'štycはxwrmztyc「善神アフラ・マズダー的」と対照をなす)。しかし王の名前であるところからして肯定的な意味を持っていたはずである。デーワーシュティーチ王はパンチ地方(今のパンジケントあたり)の支配者であり(何ヶ月かはソグディアナの王でもあった)、この地方ではδywがいまだに「神」の意味を持っていたのではないだろうか。さらに、北部に接するウスルーシャナ地方で9世紀終わりごろカリフの軍隊の将軍としてつかえていた王子はディーウダストの息子アブル-サージ・ディーウダード(Abu'l-Sāǰ Dīwdād b. Dīwdast)と呼ばれ、その孫もまたディーウダードという名前だった。学者のネルデケはこれを厳密にはデーウダード(δēwdād)であるとして、Dīw- (δēw)を「神」とした上で、ギリシア語の人名テオドトス(Θεοδοτος)と同じものだと解釈した。おそらくディーウダストもデーウダシュト(δēwδašt)、つまり「創造主 神」という意味であろう。

関連項目


参考資料 - 資料/413:253-54; 資料/659: 150; 資料/745:305


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Last-modified: 2011-08-19 (金) 20:59:44 (3017d)