シュレレ†
Šüräle, Şyrəle
地域・文化:北アジア・ヴォルガタタール、中央アジア・タリム盆地
森の精霊。
ヴォルガ・タタールによれば、シュレレは人間を襲って殺してしまう恐ろしい妖怪である。
シュレレの乳は非常に長く、それを肩にかけられるほどである。指も長く、このような身体的特徴によってシュレレは人間を殺す。あるときは、長い乳を人間の口に押し込めて窒息させてしまう。また、人間をおびき寄せてから長い指にでくすぐり続け、そして殺してしまうともいう。しかし、シュレレは水を恐れているので、シュレレに襲われたら、もし近くに川があるならば、それを渡れば助かることができる。
また、シュレレは草原で一番の優れた馬に乗っていて、馬がトヘトになるまでずっと乗り回し続けているともいう。そのときは、顔を後ろに向けて乗っている。
タリム盆地には、以下のような物語が伝わっている。
あるきこりの前にシュレレが姿をあらわした。
「おまえの名前はなんだ」
きこりは「"去年"という名前だ」と答えた。
そして、きこりは森の精霊から逃げるために、まず丸太に斧を打ち込んだ。そして、シュレレに「指を割れ目に入れろ」といった。シュレレがそれに従って指を入れると、きこりは斧を引き抜いた。シュレレの指は割れ目に挟まれ、激痛が走った。この精霊は叫びまわり、自分たちの仲間を呼んだ。しかし彼は「去年がやった!去年がやった!」とばかりいう。そんなこんなだから、「今年ならなんとかなるが去年だとどうにもならない」と、仲間はあきれて去ってしまった。シュレレは、今でも指をはさんだ丸太を担ぎながら叫びまわっているという。
関連項目†
参考資料 - 資料/171:362; 資料/64: