エレンスゲ

Herensuge, Herensugue

地域・文化:バスク


 多数の頭を持つ大蛇。
 バスクの民話に次のようなものがある。

 エダアンスゲ(エレンスゲ)という7つの頭の蛇は、ある王国の洞窟に棲んでいました。エダアンスゲは、腹が減ると洞窟から出てきてたくさんの人を食い殺していました。そこで、この国の王様が現状に見かねてくじ引きを行い、毎日一人ずつ洞窟に行くように命じました。
 ある時、王女がくじ引きに当たってしまいました。運のないことです。こういう場合、普通なら洞窟へ行くことを免除するのですが、この王は次のようなことを言いました。娘を救って蛇を殺した者には国土の半分を与え、娘と結婚させる権利を与える、としたのです。
 そこで、ある若者が、何本かの鉄で作った鉤を持って洞窟に行きました。若者は洞窟で王女を見つけると、宮殿に戻るようにと言いました。そして、洞窟の前の木に鉤を突き刺し左手にハンマーを持って鉤より上にあがりました。そこへ男の臭いをかぎつけてエダアンスゲがやってきて、木の上にのぼりはじめました。しかし、男も必死にハンマーで攻撃します。必死です。蛇は後ずさりしましたが鉤に引っかかって動けません。そこを男が仕留めました。そして、蛇から舌を抜き出して洞窟を立ち去りました。
 しばらくして、1人の若者がそこへ行くと蛇の死体が転がっていました。しかし、頭は残っています。運のいいことです。そこで、彼はエダアンスゲの頭を切り取り、王様の前に現れて「蛇を殺したのは私です」と言いました。王様はその言葉を鵜呑みにし、娘を若者の前に連れてきました。しかし、娘は彼は私を助けていない、と断言します。当然です。
 そこへ本物が現れ、王様に蛇の舌を見せました。確かに調べてみると、最初に現われた若者の持ってきた蛇の頭には舌がないため、王様はようやく納得し、王女と対面させると、彼女は今度は本物だと認めました。王様は先の若者を捕らえ、蛇退治の男に国土の半分と娘を与えました。

関連項目


参考資料 -


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Last-modified: 2012-10-11 (木) 12:20:15