ベルゼブブ

Beelzebub
בַעַל זְבוּב

地域・文化:悪魔学


 聖書ヘブライ語ではバアル・ゼヴーヴ(Baˁal zəḇûḇ)。
 言語によってベルゼビュート、バアルゼブブなどとも呼ばれる。
 旧約聖書に登場する邪神。

 旧約聖書では『列王記下』(1:2-6,16)に登場。ペリシテ人の町エクロンで崇拝されていた神で、サマリアで屋上の欄干から落ちたアハジア王は使者を使わし、この神に伺いをたてようとした。しかし、エリヤはイスラエルに神がいるというのに何故エクロンまで行くのか!と叱責した。名前は「蠅の主」と言う意味である。
 新約聖書では、サタンの同義語とされ、悪霊たちの支配者とされている。ここではベルゼブルと呼ばれているが、これはバアルゼブル(神殿の主)のアラム語形である。イエスが、目も見えず口も聞けない人間を治したとき、パリサイ人またはイスラエルの律法学者は
 「こいつは悪霊の頭ベルゼブルを使っているのだ」
 といった。(『マタイによる福音書12:24』ほか)。その時、イエスは
 「内紛してはサタンの国が成り立っていけないではないか」
 と、反論したといわれる。
 新約聖書外典『ニコデモ福音書』では、まずベルゼブブはユダヤ人をそそのかしてイエスを殺害し、ハデスにイエスを閉じこめようと計画したとされる。そして、ベルゼブブがハデスにイエスの愚痴をこぼして計画を話していると、いきなり天使の群が現れた。この声に驚いてベルゼブブは逃げだし、ハデスは手下を用いてドアを開けないようにした。天使がもう一度「開けろ」というと、ハデスは「なんのこっちゃ」ととぼける。すると、いきなり扉が破壊され、栄光の王が入ってきてしまう。そして、死人たちはみんな外へ出ていって誰もいなくなってしまった。イエスはベルゼブブの頭をつかんで、ハデスに最後の審判の日まで閉じこめるように命じた。ハデスは命じられたとおりに行動した。ハデスには誰もいなくなってしまった。

 最大の敵は聖フランチェスコ。蠅を使い魔とする。
 ミカエリスの階級においては、彼は16の魔神の指揮官、堕天した熾天使でルキフェルに次ぐものだった。バレットによれば、偽りの神々の王である。ビンスフェルドの分類では、7つの大罪のうち、大食を司る。
 プランシーの『地獄の辞典』ではベルゼビュートと呼ばれ、地獄の最高権力者となっている。ベルゼビュートは作物を荒らす蠅の害から人間を救う能力があるとされている。パランジェーヌの『ゾディアコ・ヴィテ』では、その腰掛ける玉座は巨大で、額には炎の帯を巻き、胸は厚く膨れ、顔はむくみ、目はぎらつき、眉はつり上がっているとされる。鼻孔は広く、二本の角、肌は真っ黒、コウモリの翼、足はアヒル、尾はライオン、全身を長い毛が覆う。ジル・ド・レエは豹に化けた姿を見たといいう。ちなみに、コラン・ド・プランシーの挿し絵は最も有名で、顎が発達した蠅で、羽には死に神が描かれているのものだ。

関連項目


参考資料 - 資料/1; 資料/356; 資料/85:; 資料/181:


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Last-modified: 2013-10-21 (月) 17:31:50