アルラウネ

Alraune

地域・文化:ドイツ


 女性名詞。男性名詞形はアルラウン。ドイツにおけるマンドラゴラのこと。

 古高ドイツ語の語彙集においてすでにマンドラゴラに対してアルルーナ(Alrûna)、アルルーン(Alrûn)という単語が当てられており、伝承の古さがうかがわれる。
 グリム兄弟『ドイツ伝説集』第84話によれば、盗賊の家系に生まれた者、妊婦なのに盗みをしたりしようとした女性から生まれた者、実際には無実なのに拷問にかけられて泥棒の「自白」をした者が縛り首にされたとき、彼らが童貞であって、死に際に尿や精液を地にたらすと、その場所からアルラウネ、またはガルゲンメンライン(Galgenmännlein「絞首台の小人」)が生じる。
 アルラウネを引き抜く方法はマンドラゴラと同じで、自分は遠くに逃げて叫び声を防ぎ、訓練した犬に引き抜かせる。そうして手に入れたアルラウネを赤ブドウ酒できれいに洗い、紅白模様の絹布で包み、箱に収める。アルラウネは毎週金曜日に取り出して風呂で洗い、新月の日には新しい布を着せなければならない。そうしてアルラウネにいろんな質問をすると、この植物は未来のことや秘密のことを教えてくれる。だからこれを手に入れたものは裕福になるのである。しかしアルラウネにあまり大きな要求をすると力が弱って死んでしまうこともある。
 持ち主が死ぬと、末の息子がこれを相続する。そのとき父の棺にはパンの切れ端と一枚の貨幣を入れなければならない。しかし息子が父より先に死んだら所有権は長男のものとなる。このときも末の息子の棺にパンの切れ端と貨幣をいれなければならない。

 アルラウネは必ずしも植物の根であるというわけではなく、家の精霊コーボルトと混同されて「小さな人形」であったり「小動物」であったりすることもある。いずれにしても入手困難で世話も大変である。

 ヤーコプ・グリムは『ドイツ神話学』第37章「薬草と鉱石」においてアウラウネの語源はドイツ古代の女神アルラウン(Alraun)ではないか、と主張した。

関連項目


参考資料 - 資料/2:51; 資料/16:1202-4; 資料/81:115-17; 資料/161:209-13


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Last-modified: 2013-09-13 (金) 18:44:03