地域・文化:アラビア;ペルシア
音楽を奏でる野獣。
アル=カズウィーニーの『創造物の驚異』によれば、シャーダワールは辺境のラーム地方に住む一角獣。ひとつの角から42の中空になっている枝が分かれており、風が吹くと共鳴して朗らかな、または哀愁を帯びた調べが響きだす。この音楽の力によって、シャーダワールは多くの動物をおびき寄せるのである。シーラーニス(Srnis、おそらくセイレーン)のようなものである*1。
14世紀のペルシア語科学書『ヌジャトゥ・イ・クルーブ』(ハムドゥッラーフ・ムスタウフィー・カズウィーニー著)によれば、シャーダワールは獰猛な肉食獣である。この動物には2つの角があり、それぞれ21に枝分かれしている。すべての角が空洞になっていて、穴が空いている。風が吹くと、その角から美しい音色が奏でられ、鳥獣がシャーダワールの周りに集まって、その音を聴く。しかしシャーダワールは機会をうかがいつつあり、チャンスになるとそのなかの一頭をつかまえて食べてしまうのである。
人々はこの角を王のために献呈し、彼らが風が吹いているときにそれを持ち上げると、美しい音色が流れ出す。その音色は時として非常に哀調を帯びているので、憐憫の情をもたらすこともある*2。
参考資料 -