*ヒラニヤカシプ [#hiranyakasip] CENTER:&size(25){Hiraṇyakaśip}; //hiranyakasip 地域・文化:ヒンドゥー ---- [[../ヒラニヤークシャ]]の兄弟である魔王。カシュヤパ・プラジャーパティとディティの息子。~ その昔、ヒラニヤークシャがヴィシュヌに殺されたことがあった。兄弟であるヒラニヤカシプはヴィシュヌを恨んで復讐を誓い、マンダラ山の洞窟で激しい苦行をおこなった。その苦行はあまりに激しく、世界は炎によって苦しんだ。そこで神々はブラフマーのところへ行って助けを求めた。~ ブラフマーは世界を救うためにヒラニヤカシプの苦行を受け入れ、どんな望みでもかなえることにした。ヒラニヤカシプの身体はほとんど蟻に食われていたが、ヴィシュヌは聖水をかけてこの悪魔の姿を元通りにした。ヒラニヤカシプはブラフマーを讃美し、~ 「人間によっても、獣によっても、神々や[[../アスラ]]や大蛇たちのよっても殺されることのないように」~ という願望を伝えた。ブラフマーは、そのすべてをヒラニヤカシプに与えた。~ もはや無敵、不死身となったヒラニヤカシプは世界の征服をすませ、ヴィシュヴァカルマンが造った大インドラの宮殿をその住居とした。神々はもはや打つ手がなくなり、ヴィシュヌのところへ助けを求めた。~ その頃、ヒラニヤカシプの息子の1人に[[../プラフラーダ]]という子がいた。プラフラーダはヒラニヤカシプと異なって非常に徳の高い息子であり、ヴィシュヌに帰依していた。彼を憎んだ父は何度もプラフラーダを殺させようと試みたが、ことごとく失敗に終わった。それどころか、彼はアスラの子弟たちを感化してしまった。~ そこで、ヒラニヤカシプはとうとう自ら剣を持ち、息子を殺すことにした。魔王は柱を叩いた。すると、その中から恐ろしい音響が聞え、そしてヴィシュヌ神たる人獅子のヌリシンハが現われた。ヌリシンハは「人間」でもなければ「動物」でもない姿をしていた。ヒラニヤカシプの願望の中に、「人獅子によっても殺されない」という条件はなかったのである。ヌリシンハはその鋭い爪でヒラニヤカシプを殺し、そして世界を救ったのであった。~ プラフラーダはその後にヴィシュヌにヒラニヤカシプの深い罪業を清めてくれるように求め、ヴィシュヌはその願いをかなえた。 魔王[[../ニクンバ]]は彼の家系である。 **関連項目 [#relative] -[[../ヒラニヤークシャ]]、[[../プラフラーダ]]、[[../ニクンバ]] -[[キーワード/悪魔]] ---- 参考資料 - [[資料/70]]: