アクリス

Achlis

地域・文化:ローマ


 スカンジナヴィアの島に生息する野獣。エルクに似ているが、その後脚の膝には関節がない。そのため横たわることができず、寝るときは樹木に寄りかかるしかないという。人々がアクリスを捕まえるときは、この習性を利用して、罠に仕立て上げた木を用意し、それを切り倒すことで起き上がれないようにする。
 アクリスの上唇は非常に大きいので、草を食む時は後ろ側にさがっていく。そうすれば上唇を巻き込んで口が塞がれてしまうことがないからである。
 プリニウスは、ローマでは一度も見たことはないが、多くの人々がアクリスについて語っている、と述べている(『博物誌』VIII.39)*1

 カエサルも『ガリア戦記』VI.27でアルケース(Alcēs)という似たような名前の獣について述べている。アルケースはゲルマニアのヘルキニア森に棲む奇妙な動物の一種で、その姿や斑はヤギと同じだが少し大きく、角はなく、脚には瘤も関節もない。そのため横になって休むことができず、倒されると自力で起き上がることができない。寝るときは(アクリス同様)木を支えにしてほんのわずかだけもたれて休む。猟師たちはアルケースの寝床を見つけると、ひそかに樹木を刈り込んでおき、しかし立たせたままにする。アルケースがもたれかかると、その重さで木とともに倒れてしまう*2

関連項目


参考資料 -


*1 資料/972:30-31.
*2 資料/973:205-206.

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