地域・文化:ギリシア、エジプト
「頭無し」。複数形はアケパロイ。そのほかビアイオス、ビアイオタナトスと呼ばれることも(アホロス参照)。
ギリシアの民間伝承において、字義通り、人体から頭が欠けた姿をしている精霊、あるいは悪霊のような存在。
アケパロスの伝承には肯定的な側面と否定的な側面があるが、一般的には極めて悪い、害をなす死霊の一種であるとされている。その伝承は古代から現代に至るまで持続しているらしい。
アケパロスはアホロスたち(不慮の死を遂げた幽霊)の一種であるとされ、事故や斬首のごとき暴力的な死を遂げたものがこの類の亡霊になると考えられていた。また、古代後期から18世紀にいたるまで、フォノス(「殺人霊」)もアケパロスのことであるとされた。
古代後期のエジプトにおける魔術パピルスではアケパロスは宇宙の創造者だとか宇宙の神であるとかみなされるようにもなっていた。これはオシリス神との習合信仰によるものらしく、あるパピルスには「汝、神オシリス」なる一文も刻まれている。
アケパロスは、アケパロイというように複数形になるとある種の民族、つまり頭がない人々だらけの集団を意味することになる。当該項目参照のこと。
魔術パピルスに描かれたアケパロス。体中に神の名や呪文の羅列がみえる。頭のあるべきところには旗みたいなのが5つ立っているけど、なんだろう? 両手に持っている枝か杖のようなものはなんらかの神の属性か。Brill's New Pauly, antiquity vol.1, p. 412より。
参考資料 - 資料/480