*ミュルメクス [#d4b72f43] CENTER:&size(25){Myrmex&br;Μύρμηξ}; 地域・文化:古代ギリシア ---- ミュルメークス。~ 生殖器が逆向きについているライオン。その名は「蟻」を意味する。伝承の過程で蟻とライオンの合成獣である[[ミュルメコレオン>西欧/ミュルメコレオン]]に進化したことで知られている。 この生き物については、前2世紀のクニドスのアガタルキデス『エリュトラ海について』第1巻70節に登場するのが初期の例のようである。それによると、アラビアにいる種類のライオンのなかにはミュルメクスと呼ばれるライオンと呼ばれているものがいる。外見はほとんど他のライオンと変わらないが、生殖器については他のライオンと逆向きについているの。体色は黄金で、他のアラビアのライオンよりも毛皮が滑らかである(([[資料/1023]]:158; [[資料/1024]]:118.))。ミュルメコレオンの性器の話はおそらくアガタルキデスによるこの記述がもとになっているのだろう。~ また、後1世紀のアエリアヌスは『動物の本性について』XVII.42において「バビロニアには生殖器が逆向きについているミュルメクスがおり、他のもの(άλλοις)とは異なっている」と書いている(([[資料/1025]]:376-377.))。英訳ではミュルメクスが"Ants"、「他のもの」が"Ants elsewhere"「他の地域の蟻」と訳されているが、ここで「他のもの」が厳密にミュルメクスを指すのかどうかを断定することはできない。もしミュルメクスだとすれば、アエリアヌスにとってミュルメクスは一般的な生物種であり、バビロニアの変種だけが生殖器の点で特異だ、ということになる。ただし直前の41節後半ではライオン(λεον)について述べられており、その次の43節も豹について述べられているので、ここで「蟻」が出てくるとすればかなり唐突である。アガタルキデスを考慮に入れるならば、ここでアエリアヌスが想定していたのは「蟻と呼ばれるライオンの一種」だということになる。 **関連項目 [#ndde496f] - -[[キーワード/ライオン]] ---- 参考資料 -