*ウルリクムミ [#ullikummi]
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地域・文化:ヒッタイト、フリ

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 昔々の大昔、世界を支配していたのは天上の神アラルであった。その下で神々の第一人者であるアヌは9年間辛抱していたが、ついにクーデターをおこしてアラルを倒し、神々の玉座についた。そのアヌのもとで、これまた9年間我慢して使えていた神がいた。クマルビ(Kumarbi)である。クマルビは荒い神で、小鳥のごとく逃げようとしたアヌの足を捕まえて、その生殖器を口で噛み切って飲み込んでしまった。しかし、アヌは「お前の体には、3つもの大変な神々の種が入ったのだ! それをお前は産むことになるのだ! ハッハッハ」とクマルビに言い返した。~
 月は満ち、アヌの言うとおり、クマルビは出産に大変苦しむことになる。結局は知恵の神エアが強引に帝王切開をして神々を取り出すのだが、この屈辱はクマルビにとっては耐えがたいものであった。そこで彼は、神々の世界へ復讐を誓う。~
 クマルビは旅の途中、ティグリス河のほとりで巨大な岩を見つけ、その「岩の彼女」に10回も挑んで、ようやく孕ませることに成功した。この岩はクマルビの種により子供を宿し、大地の女神たちの助けを借りて男の子を産み落とす。クマルビはその子供に「ウルリクンミ」という名前を付けた。クマルビはウルリクンミを巨人[[../ウペルリ]](Upelluri)の肩にくっつけ、この怪物を育て上げることにした。~
 ウルリクンミはどんどん成長していった。エンリル神はなんとなくクマルビの計略に気づいていたものの、最終的に太陽神がその存在に気づいた頃には、ウルリクンミは恐ろしいほど大きくなっていた。太陽神はこのことを天候神に知らせ、何人かの他の神々と共にウルリクンミを調べることとなった。女神イシュタルは性的な魅力でウルリクンミをひきつけようとしたが、無駄だった。なにせ相手は石である。欲がないのだ。天候神は彼の随獣である雄牛、嵐、稲妻、雷光などすべての力を呼び出して戦った。戦争神アシュタビもこの戦いに参加してウルリクンミを倒そうとした。しかしこの怪物はあまりにも大きく成長しすぎ、とても倒すことは出来なかった。そこで彼らは、まだ戦いに参加していなかったエアに相談することにする。~
 怪物のところへ向かったエアは、ウルリクンミが巨人ウペルリの肩に未だにくっついていることを見つける。エアはこの巨人に訪ねたが、彼は「そういえば肩に痛みを感じるが、ほかは何も知らない」と答えただけだった(おそるべき鈍さ……)。そこでエアは原初の神々のところへ行き、天と地を切り離すときに使った道具を借り、それでもってウペルリからウルリクンミを切り離した。そうすることによってウルリクンミは成長の源であるウペルリを失うのである。これがエアの作戦であり、見事に成功した。
**関連項目 [#related]
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-[[キーワード/岩石]]
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参考資料 -


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