*ティアマトの11の怪物 [#d0b0489a] CENTER:&size(25){Tiamat's Creaturs&br;}; 地域・文化:アッカド ---- バビロニア語:ウームー、ウマーマーヌ、ガルル、シュート・メー・ナーリ・ウ・ナーバーリ、ビーヌート・アプシなど。&br; バビロニアの叙事詩『エヌマ・エリシュ』において、[[../ティアマト]]がうるさい子供たちを静めるために生み出した11の怪物は以下の通り。マルドゥク(アッシリア版ではアッシュル)がすべて打ち倒し、記念にその図像がアプスーに安置された。とある新アッシリア時代の祓魔文書によれば、これらの怪物の人形は魔除けとして使われていたらしい。&br; 日本語表記がいくつかあるようなので全部並べてみました。その下はアルファベット転写表記、原語の意味、試し読みです。&br; -7つの頭のドラゴン ムシュマッヘー 七頭の大蛇&br; Mušmaḫḫu 「七頭の蛇」 ムシュマッフ&br; -ドラゴン 狂暴な竜たち 竜&br; Ušumgallu 「ドラゴン」 ウシュムガルル&br; -毒蛇 バシュム&br; Bašmu 「毒蛇」 バシュム&br; -ムシュフシュ&br; Mušḫuššu 「怒れる蛇」 ムシュフシュ&br; -ラハブ ラハム&br; Laḫmu 「巻き毛の男」 ラフム&br; -ライオン 巨大なライオン 大きなライオン&br; Ugallu 「大きな日」 ウガルル&br; -狂犬&br; Uridimmu 「狂ったライオン」 ウリディンム&br; -サソリ人間 ギルタブリル サソリ人&br; Girtablullû 「サソリ人間」 ギルタブルル&br; -嵐の魔物 激しく押しよせる嵐 嵐の怪物&br; Ūmū dabrūtu 「嵐の風の獣」 ウームー・ダブルートゥ&br; -魚人間 クリール 魚人&br; Kulullû 「魚人間」 クルッル&br; -翼のある牡牛 不思議な野牛 有翼の牡牛&br; Kuusarikku 「野牛」 クサリック これらの怪物の一部はより古い神話にある、ニンギルスやニヌルタによって倒された11の敵対者から採られている。&br;&br; なお、(ティアマトの怪物に限らないが)メソポタミアの怪物と神々のの関係について、ヴェッヒェマン(F.A.M. Wiggermann)は以下のような整理をしている。 |怪物|神| |合成獣|人間型| |超自然的奇形|標準的な形質| |自然現象の象徴|その現象が属するもの全ての象徴| |人々の問題に干渉する|背後から持続して提供する| |気まぐれな関係|主人| |反逆、有害|正義の支配者| |倒される敵|勝者| |遠くの地の象徴|低地の象徴| |山・敵の象徴|低地の規範の象徴| |海の象徴|陸地の象徴| |限定された宇宙的な役割|宇宙起源に責任を持つ| これらの怪物はもちろん人間ではないが、神々のリストにその名が載ることもなく、人々を苦しめる悪霊のリストに名前が載ることもなかった。また、人間とは異なり不死であるともされた。 **関連項目 [#ndde496f] -&br; -[[キーワード/総称]] ---- 参考資料 - [[資料/350]]:; [[資料/271]]: