地域・文化:日本・江戸
本来は欧米語で天使のことだが、松浦静山の『甲子夜話三篇』巻七十では、翼が生えているという点で似ていることから、天狗の西洋での呼び名であるとされている。ふだんは山林に潜んでいるが、ときおり人家に降りてきて、人に災いをなすという。これは西洋でいうエンゲルであり、正しい人を攻撃する悪魔の仲間なのだという。
あるとき、子供が凧を揚げて遊んでいたところ、空のほうから人の声がする。気になっていると、次第に声が近づいてきたので、目を凝らしてみると、空を飛んでいる者がいた。人々が集まって仰ぎ見てみると、さかさまの状態の女性のように見えたが、着物の裾がたれて顔のところを覆っていたのでよく分からない。遠くだったが両股のあいだに女性器のようなものもみえる。この者は声を発して泣き叫んでいたが、この女性(?)を運んでいるものは見えなかった。おそらく天狗がひっさげていたのだろうということになった。この件について静山は、ワシの眼で翼の生えたエンゲルの仕業に違いないと述べている*1。
参考資料 - [[資料/]]