人狼

Jinro
じんろう

地域・文化:ヨーロッパ


 ライカンスロープとも。

 人狼、いわゆる狼男は、その出自は人間である。彼らは夜になると人間から狼へ、または毛深い二足歩行の獣へと変身する。そして人間としての理性を失い、人々や家畜を襲い、その肉を食べるのである。羊膜をつけた子供や7番目の子供、呪いをかけられた人間が人狼になることが多い。しかし夜中の意識はほとんどなく、朝、どういうわけか激しい肉体疲労だけが残るのである。狼のときに傷つけたが取り逃がし、あとで同じ個所に傷を負っている人間が見つかり、それが狼だった、という鍛治が媼のような話もある。

 スラヴではヴコドラクという名称が一般的。

 また、精神病の一種としての「狼狂」というのも古代ギリシアの時代から知られており、ギリシア語でリュカントローピア(lycanthrōpia)、英語でライカンスロピー(lycanthropy)と呼ばれていた。この病気はシリア経由でアラビア文化圏にも入り込み、そこではクトルブと呼ばれるようになった。イブン・スィーナーの医学辞典『カーヌーン』にもその名がみえ、今度はこれがヨーロッパに逆輸入され、ロバート・バートンの『憂鬱の解剖』などではククブス(Cucubuth)として表記され、ほかの狼狂を表すことばと並べられている。

関連項目


参考資料 -


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