*アサグ [#d0b0489a]
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*アサグ [#asag]
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地域・文化:シュメール

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 アザグ(Ázág)。&br; アッカド語のアサック。&br; 病気を引き起こす悪霊。井戸を枯らし、大地を毒で覆う。&br; シュメールでは、人々に降りかかる災厄は大きく分けて二つあると考えられていた。一つは天上の神々が下すもので、それはあくまで人々の行いに対する懲罰のようなものであった。そしてもう一つは神々ではなく、純粋な悪意を持った存在によって引き起こされる災厄である。前者はナムタルとして擬人化され、病気を引き起こす後者はアサグとして擬人化され、固有の悪霊と見なされた。つまり、ナムタルは秩序的であるのに対し、アサグは無秩序であるとされたのである。しかしアッカド時代になると、災厄はそれを引き起こす悪霊を含め、すべて神々の統率のもとにあると考えられるようになった。&br; そのような思想があったので、アサグは医学文書や祓魔文書においてたびたびナムタルとセットで言及された。これらの悪霊は医術の女神バウや、この女神と同一視されたグラ、ニニシナ、ニンカルラクといった神々によって追い払われるとされた。&br;&br; 普通アサグは個人的な病気を引き起こす悪霊だと考えられていたが、叙事詩『ルガル』においては、アサグは宇宙的な「無秩序」を象徴する怪物として登場する。アサグはアン(天)とキ(大地)の間に生まれた子供であり、クル(山、シュメール時代は敵対するものの象徴だとされた)との間に子孫を残した。その姿は非常に恐ろしくて醜悪で、川の中の魚を生きたまま沸騰させた。叙事詩の中で怪物アサグの相手をするのはバウの夫である戦闘神ニンギルス(または彼と同一視されたニヌルタ)で、彼はこの怪物を退治した。この神話の中のアサグは、同様に神々や人々に敵対する怪物であるアンズーやムシュサグイミンと同一視されていたらしい。&br; 『ルガル』の中のアサグを描いたとも考えられている図像においては、アサグの姿はグリフィンのようになっている。
 アザグ(Ázág)。~
 アッカド語の[[../アサック]]。~
 病気を引き起こす悪霊。井戸を枯らし、大地を毒で覆う。~
 シュメールでは、人々に降りかかる災厄は大きく分けて二つあると考えられていた。一つは天上の神々が下すもので、それはあくまで人々の行いに対する懲罰のようなものであった。そしてもう一つは神々ではなく、純粋な悪意を持った存在によって引き起こされる災厄である。前者は[[../ナムタル]]として擬人化されたが病気を引き起こす後者はアサグとして擬人化され、固有の悪霊と見なされた。つまり、ナムタルは秩序的であるのに対し、アサグは無秩序であるとされたのである。しかしアッカド時代になると、災厄はそれを引き起こす悪霊を含め、すべて神々の統率のもとにあると考えられるようになった。~
 そのような思想があったので、アサグは医学文書や祓魔文書においてたびたびナムタルとセットで言及された。こうした悪霊らは医術の女神バウや、この女神と同一視されたグラ、ニニシナ、ニンカルラクといった神々によって追い払われるとされた。~
 普通アサグは個人的な病気を引き起こす悪霊だと考えられていたが、叙事詩『ルガルエ』においては、アサグは宇宙的な「無秩序」を象徴する怪物として登場する。アサグはアン(天)とキ(大地)の間に生まれた子供であり、クル(山、シュメール時代は敵対するものの象徴だとされた)との間に子孫を残した。その姿は非常に恐ろしくて醜悪で、川の中の魚を生きたまま沸騰させた。叙事詩の中で怪物アサグの相手をするのはバウの夫である戦闘神ニンギルス(または彼と同一視されたニヌルタ)で、彼はこの怪物を退治した。この神話の中のアサグは、同様に神々や人々に敵対する怪物である[[../アンズー]]や[[../ムシュサグイミン]]と同一視されていたらしい。~
 『ルガルエ』の中のアサグを描いたとも考えられている図像においては、アサグの姿はグリフィンのようになっている。
**関連項目 [#ndde496f]
-[[../アサック]]、[[../ナムタル]]、[[../アンズー]]、[[../ムシュサグイミン]]

-[[キーワード/病気]]
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参考資料 - [[資料/350]]:; [[資料/351]]:; [[資料/271]]:; [[資料/303]]:; [[資料/227]]:


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