*緊那羅 [#n92a67f1]
CENTER:&size(25){Kiṃnara &br;किंनर};

地域・文化:仏教

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 女性形はキンナリー。~
 パーリ語: キンナラ(Kinnara)。~
 チベット語: iḥam-ci。~
 漢字への別転写: 緊娜羅、緊捺洛、緊拏羅、緊陀羅(きんなら)、甄陀羅(しんだら)、眞陀羅(しんだら)。面倒なので、以下キンナラで統一。~
 漢字への直訳: 疑人、疑神、人非人。~
 漢字への意訳: 歌神、歌楽神、音楽天。~
 別名: アシュヴァムカ(Aśvamukha:馬面)、トゥランガヴァクトラ(Turaṃgavaktra:馬面)、マユ(Mayu)。

 「人なのか何なのか」。~
 kim「何か」+nara「人」を合成して出来た名称。~
 直訳すると「人なのか何なのか」という意味になる。kim「何か」+nara「人」を合成して出来た名称。~
 基本的には意訳にあるとおり、天上で音楽を奏でる神である。~
 キンナラたちは、夜叉と同時に梵天の足跡から誕生した(迦葉波仙の子であるともされる)。彼らは帝釈天の雅楽神であり、倶毘羅の天界に住んでいるとされる(このあたりはヒンドゥー教のキンナラの神話とほぼ同じ)。男のほうは美声で歌い、女のほうは天女に比べられるほどよく舞い、多くは乾闥婆天(インド神話のガンダルヴァ)の妻になるという。鼓を持った姿で描かれる。~
 仏典には多くの固有名称が挙げられ、『法華経』序品では4人、『新華厳経』第一でも10人挙げられており、『翻訳大義名集』では10のキンナラの名称が掲載されている。名前がそのまま経典の名称になっている『大樹緊那羅王所問』なる経典もあり、ここでは大樹緊那羅王という緊那羅が釈迦の前で琉璃琴を演奏し、大迦葉などをひどく感動させたという。~
 その姿は、『華厳経探玄記』第二によれば非常に人間に似て、顔は美しいが、頭に角が1本あるとされている。このようなキンナラを見て人は「人なのか? 鬼なのか? 獣なのか?」と疑うため、「疑」とも呼ばれるようになったとされる。ちなみにキンナラの直訳に「人非人」というのがあるが、これは今書いたように"単純に"その容姿から受ける印象によってこのような名称が与えられているだけであって、キンナラ自体はこの言葉から一般的にイメージされるような悪い性質を持っているわけではない。~
 また、彼らはもっと人間との区別がしやすい姿で想像されることもあった。例えば『慧琳音義』第十一では、その姿は、男のほうは馬の頭で人間の体、女のほうは美しい人間の女性のようであるとされた。『ジャータカ』の図の中では、キンナラは人間の頭に鳥の体というような姿で描かれている。また、馬の体で人の頭であるともいわれる。

 八部衆の1人でもある。密教においては倶毘羅の眷属であるとされ、曼荼羅図にも配置された。

**関連項目 [#c455978c]
-[[仏教/四緊那羅王]]

-[[キーワード/音楽]]
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参考資料 - [[資料/355]], s.v.; [[資料/126]]:

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