ケレト

Ke'let, Kelet

地域・文化:チュクチ


 単数形ケレ(Ke'lᴇ)。
 さまざまなモノの「主」。すべての精霊の総称としてつかわれる。
 しかし、一般的には、独立した精霊としてのケレトはどの個体も人間に害をなす存在とされる。この妖怪は人里離れた荒野やチュクチの領土の境界、地下などに住み、一人旅をしている人間を襲ってとり憑いたり、氷の割れ目に潜んで水を飲もうとした人を襲ったりする。黒い服を身にまとうが、別の言い伝えでは、彼らは死んだチュクチの衣服を着用し、死者のスジでつなぎ合わせるという。姿はさまざまで、上半身しかなかったり、犬の耳だったり、沢山脚があったり、体が魚だったりするが、どれも鋭い歯が口いっぱいに生えそろっているのが特徴である。ケレトは常にさまよい、人間の集落へ赴いて獲物を探すが、彼らの集落は人間と似ている。犬やトナカイを飼い、結婚もすれば子供もいる。若いケレトは漁や猟にいき、長老は人間の頭蓋骨で未来を占う。人間の魂をとらえるとそれを細々に切り、料理して子供たちに与える。

 ケレトはだいたい3つに分類することができるが、もちろん厳密なものではなく、それぞれ領域は重なり合っている。
 1つめは不可視の悪霊で、疾病を流行らせたり、人間の霊魂や肉体を襲う。地下に住むが、地上にも家を持つ。しかしケレトは家には留まらず、犠牲者を探し出し、特に人間の肝臓を好む。人間の村と同じような共同体がある。
 2つめは食人鬼で、遠くの海岸に住んでいるとされ、チュクチの戦士と戦うことがあった。もともとは巨人族だったが、チュクチの人々に退治され、現在は悪霊として人々に悪さをなす。
 3つめはシャーマンに召喚される精霊である。「分離した声」と呼ばれる。氷山などに姿を変えることができる。

関連項目


参考資料 -


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Last-modified: 2008-08-18 (月) 06:53:10