ターグレルケト

Ta•gʟᴇrqät

地域・文化:北米先住民・ネツィリク


 「急いで通り過ぎる影」。
 人間の姿をしていて、人間と同じように生活し、人間と同じ武器と道具を使うとされている。しかし、その姿は見えず、死ぬまで体が見えることはない。
 昔々、ターグレルケトたちは何人かのイヌイトと同じ村に暮らしていた。人々は雪の中の跡や雪の家を見ることはできたけど、ターグレルケトたちを見ることはなかった。
 イヌイトの女性と不可視の住人が結婚したとき、それは起こった。
 夫婦は話すことはできたし、彼は妻のために狩りもした。彼はよい夫だったが、彼女はその姿を見ることができず不満であった。そんなこんなで彼女は自分を抑えることができず、ある日ついに、一緒に家の中に座っているとき、絶対にそこに座っているに違いないところにナイフを振りかざしたのである。彼女の願いはかなった。そこには美しく、若い男性が倒れており、そして動かず、そして死んでいた。すばらしい夫をなくして後悔しても全てはもう遅かった。
 しかしターグレルケトたちはイヌイトたちに復讐するために準備を整え、彼らを殺すために雪の家から出てきた。イヌイトたちにはその弓が動くのと、弓の弦が動いて弓がしなる様子だけが見えた。しかし、だれも撃たなかった。なぜならイヌイトたちは彼らの姿が見えなかったので、どうすることもできなかったのである。ターグレルケトたちは復讐する相手が身を守ろうとしないのを見て、攻撃をやめた。以上が、どうして争いが起こらなかったかの理由である。

関連項目


参考資料 - 資料/331:245-6

2008-08-16


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Last-modified: 2010-07-19 (月) 19:13:30