モシリシンナイサム†
地域・文化:アイヌ
悪魔のこと。
アイヌが人をののしるとき、「チシトマップ(妖怪)、ミンツゥチ(河童)、ウヱンベサニ(悪蛇)、ウヱンオヤシ(悪霊)、モシリシンナイサム」を繰り返す。
このモシリシンナイサムというのは具体的な姿や特徴というのはよくわかっていないようだが、とにかくその姿を見たりその痕跡を発見したりすると不幸が訪れるのだという。あるアイヌが川の砂地に人が集まっているのを見て、そこに行ってみた。彼らはここに馬の足跡があるが、これは新冠の牧場から来たものだろうか、と言った。見てみると確かにそれは馬の足跡であるように見えたが、ここに馬が来るはずがない。これはモシリシンナイサムのもんだろうと彼は言った。その足跡は川下に向かっていっていた。そのアイヌはこの足跡を見たためか、その年は悪いことばかり起こったという。ほかにもモシリシンナイサムを見ると長生きをしないか、だんだん貧乏になって苦しむことになるという。
また、ある人が十勝でモシリシンナイサムを追いかけて仕留めた、と思ったら馬ほどの大きさもあったこの悪魔は陰も形もなくなっていたと言う。その後、彼の五人兄弟は残らず死んでしまった。
関連項目†
参考資料 - 資料/241:; 資料/242:; 資料/222: