鬼神

Kijin, Kishin

地域・文化:日本・全国


(1) 万物の霊魂。
 精霊としての鬼神は『続日本紀』神亀四年(727)二月甲子、『文華秀麗集』中(818)、『古今和歌集』真名序(905-914)などに見える。また、『日葡辞書』(1603-4)の「Qixin」もその意味である。 (2) より一般的に、鬼。妖怪。
 先にあげた『日葡辞書』は「Qijin」とし、悪質なものとしている。

(3) 仏教における諸々の神々。菩薩や明王、天部ではない超自然的な存在。その示すところは広い。資料/355:s.v.の「鬼神」の項目が素晴らしいので、冒頭を引用する(編者の望月信亨先生は1948年逝去されているので著作権切れのはずです)。新かな・新字体に改めた。

 変化自在の力を有して、あるいは仏教を護持し、国界を守護し、または凶悪を恣にして人畜などを悩害する怪物をいう。仏典中には主として夜叉yakṣaの翻名として用いられたるがごときも、また羅刹rākṣaおよび八部などを称し、時には印度および支那などの諸外道によりて仰信せらるる諸神をも称することあり。その概念雑多にして、諸経論中の所説もまた一准ならず。就中また仏法を守護し、国土を守護する善神あり、また正法を毀滅し、民人を擾乱し、国土を破壊する悪神邪神あり。その形相もあるいは儀容端厳なるあり、あるいは人面獣身、獣面人身にして驚くべく怖るべきものあり。皆変化自在の力を有して、出没変現極まることなく、またその部類のごときも極めて多数に上ると信ぜられたり。

 というわけで、この「幻想動物の事典」に載せる場合、悪神邪神ならまだしも、国土を守護する「鬼神」まで入れていいものか、悩んでたりする。すでに羅刹女やら竜王やらは追加しているけど、あれは名前が羅刹や竜なだけで、実際は人々を守護する善なる存在なのだ。人々はそれらの存在に祈願するわけで、仏教以外における神々と何が違うのか、正直言ってわからない。

関連項目


参考資料 - 資料/18: s.v.; 資料/355: s.v.


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Last-modified: 2011-01-11 (火) 02:28:28