ウルガーン

Urgân

地域・文化:ドイツ


 またはウルガン。
 騎士トリスタンがイゾルデとの道ならぬ恋によって逃亡していたとき、彼を受け入れたギラーン公の領地スワーレス国(ウェールズだとも南ブルターニュだとも言われる)に貢物を要求し続けていた巨人。毛むくじゃらのウルガーン(ケルト系の名前)と呼ばれていた。ゴットフリートは「悪魔の手下」とも言っている。

 ゴットフリート・フォン・シュトラースブルクの『トリスタンとイゾルデ』第25章(15915-16210)によれば、トリスタンはギラーン公の所持していた子犬プッティクリュー(妖精の国アヴェローンの仙女から贈られた)を獲得するため、巨人ウルガーン退治することになった。ウルガーンは人々から多くの家畜を取り上げてスワーレス国を脅していたのである。
 トリスタンはウルガーンが獲物を自分の縄張りにつれて帰るところを先回りして、橋のたもとで待ち構えていた。巨人は妨害者の存在を知るや長い鋼鉄の棒をもって振りかざし、そして名を名乗りあったあと、鉄棒をトリスタンに向けて振り下ろした。しかしその棒は少しそれてトリスタンの馬を真っ二つに切断してしまった。トリスタンは槍で巨人の目に傷をつけ、そしてころがった鉄棒のところへ伸ばされた巨人の右手を切断した。ウルガーンはなおもこの騎士を追跡したが、出血がひどいとみると自らの居城へと帰っていった。そしてそこに切断されて右手を置き、薬草を取りに山へ入った。トリスタンは遅れて巨人の城に入り、腕を持って橋のほうへと戻り、ウルガーンが来るのを待った。
 トリスタンをみつけたウルガーンは少し興奮しすぎて攻撃が外れてしまい、そのすきに彼にもう一方の無傷の目も攻撃されてしまい、目が見えなくなってしまった。トリスタンは全力でウルガーンを橋の上から突き落とし、この巨人の身体を粉々にして殺したのだった。
 めでたくウルガーンを殺したトリスタンは、ギラーン公の愛犬プッティクリューを入手したのだった。

関連項目


参考資料 - 資料/16:555-56; 資料/358:272-75; 資料/374a:190-1


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Last-modified: 2010-06-28 (月) 05:21:47