ブリッチェンメンライン†
Britschenmännlein
地域・文化:スイス
「チーズの人形」。別に固有名詞というわけではない。
昔、ヴィルトシュトルーベルの麓のボンメルンアルプでは、金持ちの農夫が夏の間放牧を行っていた。彼自身は滅多にそこに行かなかったので、下男たちが家畜の放牧をおこなった。しかしこの下男たちが恐るべき不信心の集まりで、なんでもかんでも神をあざけってばかりいた。ある日、あまりにも沢山のミルクが取れたため、一杯に口を開けたチーズ型もミルクの固まったカードを収めきれなかった。そのうち、下男の一人はカードで小さな人形を作って、チーズ板に並べておいた。それでまた下男はこの人形を嘲り笑った。
「はいりたけりゃチーズ型にはいるがいい、
できるんだったら小屋からとびだすがいい」
びっくり仰天、チーズの人形は突然動き出して小屋から飛び出してしまった。下男たちは、最初は驚いていたがすぐに元のように先ほどのことを嘲っていた。
放牧が終わり、下男たちが家畜を谷に追いたてようとしたところ、突然なぞの怪物が現れて、下男たちを八つ裂きにして屋根の上に放り投げてしまった。このときからこの牧場の小屋はこのお化けの住処となってしまい、金持ちは大変困ってしまった。というのも、ここでおいしいチーズが取れたからだ。そこで金持ちはあちこちを訪ねてお化け退治の方法を聞いて回った。そのうち一人の魔法使いが彼に助言を与えた。
助言に従って、金持ちは雄牛を8年にわたって強くなるように育て上げた。そして下男がこの雄牛を小屋に連れて行くことによってお化けは退治されるはずだった。しかし、下男たちは誰も怖がっていこうとしない。最終的には少女がその役割を担うことになった。彼女は牛を小屋へ連れて行ったが、牛はその角でお化けを突き刺し、退治した。しかし牛を連れて行ったのが下男ではなく少女だったため、そこでチーズを作ることはできないという。
関連項目†
参考資料 - 資料/115: