マルティコラス

Martichoras
Μαρτιχορας

地域・文化:西ヨーロッパ


 あるいはマンティコラス(Μαντιχορας, Mantichoras)。
 アンドロパゴス(Ανδροφαγος, Androphagos)。
 ラテン語:マンティコラ(Manticora)。
 英名:マンティコア(Manticore)。
 語源はペルシア語の「人食い」で、「martīya-:人」+「χvar-:食べる」の合成語。

 食人獣。
 アリストテレスの『動物誌』501a26~(第2巻第1章)では、哺乳類に歯が二列並んでいるものはないが、クテシアスを信じるならば、マルティコラスという動物の歯は複数列並んでいる、としてマルティコラスが紹介されている。
 この動物はインド産で、両顎に歯が三列あり、大きさはライオンくらい、毛の深さと足もライオンに似ている。顔と耳は人に似ていて眼は青く、体色は朱色である。尾はサソリのようだが中に刺針があって、その針を投げ槍のように投げつける。声は笛とラッパを同時に鳴らしたようなもので、鹿に劣らず早く走り、獰猛で、人を食べる*1
 しかし『動物誌』を訳した島崎三郎によると、このクテシアスの引用部分はアリストテレスが書いたものではなく、後世の挿入らしい。*2

 インドのトラの誇大描写に由来すると考えられている。

 英語では、Mantichora(14,17-9世紀)、Mantissera(15世紀)、Manticora(17-9世紀)、Mantycor(16世紀)、Martichore(17世紀)、Marticora(17-8世紀)と表記された。初出は
 紋章学においては、肉食獣の体に人間の頭、複数の角が生えた意匠のこと。脚がドラゴンのこともある。1600年ごろに初出。こちらは主にマンタイガー(Mantiger)と呼ばれる。17世紀にはMantegre、17-8世紀にはMantyger、18-9世紀はMontegre、19世紀にはMantigerと表記された。

関連項目


参考資料 -


*1 資料/509:71.
*2 資料/509:369.

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Last-modified: 2010-06-28 (月) 06:04:08