海イノシシ†
地域・文化:西ヨーロッパ
オラウス・マグヌス、コンラート・ゲスナー、アンブロワズ・パレなどが記載している海の動物。
オラウス・マグヌスの『北方民族文化誌』(1555年)第27章によれば、この「魚」は1537年にドイツの海で発見された。それは下画像のようなものだが、彼は「驚くべき豚」と呼んでいる。
この魚は豚の頭で、後頭部の1/4が禿げていて、ドラゴンの脚が4つ、腰の両側に二つの目があり、へそのあたりに第三のくぼんだ目がある。後ろには普通の二つに割れた尾がある。この魚は当時ヨーロッパで話題になったらしく、ローマでこの怪物の部分がどういう意味を持つか解釈されたものが印刷出版された。あれこれこまかいところを省略すると、この怪物は異教徒を意味するらしい*1。
谷口幸男訳『北方民族文化史』下巻、p.573より。
アンブロワズ・パレは『怪物と驚異について』(1573)第35章において、オラウス・マグヌスを引用するといいつつ、少しばかり異なった説明を与えている。
この怪物が見つかったのはテュレン島の近くで、1538年の出来事だった。信じられない大きさでサイズは72フィートあり、高さは14フィート、両目の間は7フィートあった。肝臓も巨大でワイン樽5つを満たすほどだった。頭の後ろに三日月状のものがあり、全身が鱗で覆われていた*2。
パレは図版も利用しているが、それはオラウスのものと同様である。ここでいうテュレン島はグリーンランドのこと*3。
関連項目†
参考資料 -