竜とドラゴン

ムシュフシュ(Mušḫuššû)

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 ムシュフシュ。イスタンブールの考古学博物館でtoroia撮影。イシュタル門から取ったやつらしい。なおトルコ語では、ムシュフシュがムシュシュ(Muşuş)と表記されていた。


 シュメール語でムシュフシュ(Mušḫuš)。シュメール語のムシュフシュは古バビロニア語ムシュフシュからの借用語。
 字義的には「怒れる蛇」。『古代オリエント集』では炎の竜頭サソリ尾獣と訳されている。シュメール語のフシュは「怒れる」と訳されるが、より正確には「畏敬の念を起こさせる」という意味になる。また、フシュは「赤い色」をも意味する。

 もとは地下世界の神ニンアズの使いで、その毒により人々を死に至らしめる「蛇の王」だとされた。それからムシュフシュは時の情勢により、様々な神の間を渡り歩いていくことになる。
 まず古アッカド時代のエシュヌンナでは、都市神がニンアズからティシュパクに取ってかわられ、それとともにムシュフシュもティシュパクの随獣となった。この頃のティシュパクとムシュフシュの戦いの物語が残っている。中期バビロニアでは、おそらくエシュヌンナをハンムラビ王が征服したことによりティアマトはマルドゥク及び彼の息子ナブと関連付けられるようになった。次いでセンナケリブがバビロンを攻略するとムシュフシュはアッシュール神の獣になった。これらの神々は、ムシュフシュの背中に立って乗っている姿で表現された。

 ムシュフシュは、頭は蛇、角が長い角が二本、耳が2つはえており、ライオンの前脚、鷲の後脚、そしってサソリの尾を持っている。翼が生えた形で表わされることもある。最古の時期はライオン頭で、時代が下るにつれて様々な要素が合成されるようになったらしい。その図像はアッカド時代からセレウコス朝時代まで一貫して見られる。

 「ラッブ神話」では、ムシュフシュは、うるさい人間どもを一掃するためにエンリルが地上に送り込んだことになっている。ムシュフシュはティシュパクによって倒され、彼はムシュフシュを随獣とし、人々を再整理した。
 創世叙事詩『エヌマ・エリシュ』ではティアマトの11の怪物のうちの一だとされた。

 怪物の姿を先史時代の神々の姿の名残だとするTh・ジェイコブセンの説では、ムシュフシュはニンアズ神だったという。


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Last-modified: 2009-11-23 (月) 10:37:29 (3646d)