動物の長たる竜 †このページには、主に、動物と一緒に並べられている、「動物としての」中国の竜についての記述を集める予定。神話的・神秘的な竜や竜の物語は「竜」のほうに集める。 竜の子供 雑種編 †竜には九子ありというが、ここでは省略。オスの竜が普通の動物と交尾したら何が生まれるのか?『五雑俎』巻九「物部一」によれば以下の通り。
最後の行の性質に関連して、『五雑組』は以下のような話を紹介している。嶺南(今の広東省南部)にある人がいたが、彼は雨を招くのが得意だった。まず少女を空中に幕でかこみ、竜を駆り立ててたたせる。竜は少女と交わらんとして懸命に幕のまわりをぐるぐる回るが、その人が法力を持って竜を少女に近づけさせない。するとしばらくして、雨が降ってくるという算段である。 竜の九似 †その角は鹿、頭はラクダ、目は鬼、うなじは蛇、腹は蜃、鱗は魚、爪は鷹、手のひらは虎に似ている というのは、12世紀末南宋の羅願『爾雅翼』巻二八や上記『五雑俎』に引く、後2世紀の王符の説。王符の説だというのが正しければ、これが最も古い九似説らしい。『五雑組』は明の時代の微妙に合理的な考えでもって、「竜が現れるときは雷や電、雲や霧に護られているので、全身を見ることは極めてまれ」としている。ところでこの九似、目が鬼(=幽霊)に似ているとはなんとも奇妙なたとえである。たとえば『本草綱目』中では以下のように目は「ウサギ」に似ている、としているが、中野美代子などはこっちのほうがオリジナルではなかったかとする*1。 その頭はラクダ、角は鹿、目はウサギ、耳は牛、首は蛇、腹は蜃、鱗は鯉、爪は鷹、手のひらは虎に似ている 逆に竜が上記のような描写の一部に現れることもある。以下はモンゴルにおける謎々。 鼠の形をしていて、牛のようなヒヅメで、虎の胸、兎の唇、竜の首、 蛇の眼、馬のタテガミ、羊の毛皮、猿のコブ、雄鶏のトサカ、犬の太もも、豚の尻尾。 こたえはラクダ……*2。 竜の声、ラバの耳、羊のような排泄物を出し、(羊の)牧草地から取ってきた糞がある。 こたえは銃……。それぞれ銃声、引き金、火薬*3。 まぁ謎々なのであまりかたいことは言わないようにしよう。それにしても銃声を竜の声にたとえる感覚は興味深い。 |