極端な記譜法
練習番号 †
- 最長:シュトラウスの《アルプス交響曲》には四文字の「114a」がある(その他の練習番号はほぼすべて整数の連続)
[以下に抜粋。]
演奏指示(別個のページではなく五線譜中で) †
- 最長:ベルリオーズ《幻想交響曲》第4楽章にフランス語でIl fault frapperではじまる、146文字にわたる指示がある。
[以下に抜粋。音楽之友社版の訳では、「各拍の最初の8分音符は2本のばちで叩き、他の5つの8分音符は右手のばちだけで叩くこと」。]
パートか段の名称 †
- 最長:アイヴズの《ニューイングランドの三つの場所》「パットナム将軍の野営地」で47文字。Long snare drum (snares muffled) or small Timp「長めの小太鼓(スネアは消音して)か、小型ティンパニ」。
[以下に抜粋。段としては、さらにBass Drum with Cymb when indicated「指示のあるときはシンバルも鳴らす、バスドラム」まで含まれる!]
- 次点:ハイドンの《交響曲第七番》「昼」第2楽章に38文字の指定がある。Violoncello, Basso Continuo, e Fagotto「チェロ&通奏低音&ファゴット」。[以下に抜粋。最下段]
- 最長の略号:ヴェーベルン《管弦楽のための五つの小品》で19文字のSolo – Vlc. M. Dpf「ソロ・チェロ、弱音器付き」。[以下に抜粋。最下段にSolo - Vlc. m. Dpf.があるが、ほかのもGg.(ヴァイオリン)、Br.(ヴィオラ)と、1文字少ないのみ。これはSolo - Viollincello mit Dämpferの略]
段のサイズ †
- 同時最多:J・C・バッハの、チェンバロかピアノと弦楽器のための協奏曲第5番(1927)。1つはオシア用に短く出ている。こういう状況や数はもちろんそれほど珍しくない。
音符の装飾 †
アクセント、アーティキュレーション、ボウイングなど。フィンガリングは除く。
単一の音符・和音 †
- バルトークの《ミクロコスモス》(1926-39)第6巻の「オスティナート」第146番で、いくつか3つついている(アクセント、テヌート、スタッカート)。
[以下に抜粋。上段2小節目から、帽子アクセントとテヌートとスタッカートの組み合わせが飛び飛びにつけられている]
- リゲティのピアノ練習曲第2巻第13番にはたくさん3つアクセントがついている音符があり、3つの「帽子」アクセントもたくさん出てくる。
- 次点:2は全然珍しくない。バルトークの《アレグロ・バルバロ》(1911)にはアクセントとテヌートがある。
- 私が知っている他のどの事例でも、1つはスタッカートの点だ。たとえばラフマニノフの前奏曲第5番、ドビュッシーの《ピアノのために》組曲(1901)第1楽章、ストラヴィンスキーの《春の祭典》より「若者の踊り」など。
終止部 †
最多終止番号:The Complete Phil Ochs Collection (Almo Publications, 1978)の《夏の暑さの中で》における9個。最初の8つの歌詞のために“1.-8”と書かれた終止部があり、最後(?)の歌詞のために、1つだけ“9”とある。
一曲のなかで一人の奏者が演奏する楽器の数(打楽器以外) †
- マーラーの交響曲第5番では、クラリネット奏者の一人が6つの楽器を用意する必要がある。
[第3クラリネット奏者がA・B・C・D管クラリネットおよびB管バスクラリネットを調性や音域などによって使い分けるが、以上のように6つではなく5つである。それでも多すぎ!]