極端な記譜法

水平方向の極端な例

注:除外したわけではないが、舞台作品は、主要な劇作品の長さについて有用な情報を得るのが難しいため、ここでは無視した。また、歌劇などで「楽章」って何? という話でもある。

最多音符・和音

*1つの連桁での音符・和音

  1. 圧倒的に、ジョン・アダムズの《中国の門》(1983)の1440個(!)。連桁はスコアの9ページをずっと横断し、48の組段にわたっている。
    • 次点:Don Freundの《Hard Cells》(1989)の打楽器で、連桁は80小節以上、11の組段にわたる。
  2. 3つの組段にまたがるもの:リストの《超絶技巧練習曲》第4番「マゼッパ」で132個。15回、下位の連桁が分割され(!)、28の部分に分かれる。
  3. 2つの組段にまたがるもの:ベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番第1楽章の、おそらく作曲家によるカデンツァで、70個。
    • 次点:バルトークの狂詩曲で67個。
  4. 1つの組段でなら、リストの《ハンガリー狂詩曲》第2番と、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番第2楽章で、59個。

*1つの連桁での装飾音符・和音

  1. ユーグ・デュフールの《アンティピュシス》がソロフルートのために28個書いている。
  2. ちなみに、カデンツァ風のパッセージなら、普通の小音符と装飾音符を区別することはできないだろう。

*1小節内で:未エントリー

1小節での1つの声部の最多登場回数

  1. ショパンのバラード第4番ヘ長調の175小節目で、ある声部(個別の音符のupstemで示される)が登場し、消えて、また登場すること5回。

最長の楽章

  1. 小節数(と四分音符で計算):アラン・ペッタションの交響曲第9番(1970)は単一楽章で2145小節。
  2. ヴァーグナーの《リエンツィ》(1840、短縮版1843)は1場で1384小節。だいたい2/2か4/4だが、2/4や3/4、6/8を使うパッセージも出てくる。しかし初版では1042小節分も含まれていたので全体としては2426小節になるが、実演で全部演奏されたことはない(以下参照)。とはいえ――実演よりも印刷のほうを基準とするなら――、このスコアが記録保持者である。
    • 次点:アルカンの《短調による12の練習曲》第8番「協奏曲第一部」は1342小節ある。3/4拍子。
    • シューベルトの交響曲第9番第4楽章は1154小節で、2/4拍子。
    • [マーラーの交響曲第8番第2部は1572小節あるのでアルカンより長い。だいたい2/2拍子]
  3. ページ数:ペッタションの交響曲第9番は一楽章で385ページ。
    • 次点:ベートーヴェンの交響曲第9番第4楽章は128ページにわたる。(ただ、この点は出版社によって違う。128ページはオイレンブルク版で、ドーヴァー版だと88ページしかない。)
  4. 演奏時間:サティの《ヴェクサシオン》(小節線はない。52拍を840回繰り返す。初演では18時間かかった)。しかしこれは――演奏できないわけではないが――コンセプチュアルなのであまり妥当なものじゃないだろう。
    • 明確な作品というか、少なくとも次点:ペッタションの交響曲第9番は単一楽章で65~70分かかる。
    • (ショパンのマズルカ第5番はDal segno senza Fineつまり「終りなし」とある。有限な時間の最長作品としてジョン・ケージのオルガン2/ASLSPにも触れておこう。ドイツのハルバーシュタットで、639年(!)続くらしい演奏がされている。しかしケージは「可能なかぎり遅く」(as slow as possible)以外の長さの指示はしていない。)
  5. 音符の数:(未エントリーだが、ペッタションの第9番は有力候補だ)

最短の楽章

  1. 小節数:ヴェーベルンの《管弦楽のための五つの小品》(1911-13)第4楽章は6と1/3小節(3/4で)しかない。
    • 次点:ヴェーベルンの《チェロとピアノのための三つの小品》第3楽章は(2/4で)10小節。周知のとおり、ヴェーベルンは最短楽章の候補になる多くの作品(基準による)を書いている。
  2. ページ数:ヴェーベルンの《チェロとピアノのための三つの小品》の第3楽章は3段、組段1つで、たぶん1/3ページ。
  3. 演奏時間:ヴェーベルンの《管弦楽のための五つの小品》第4楽章は指定テンポ(♩=60で、四分音符19個分)なら19秒で終わる。
  4. 音符の数:ヴェーベルンの《チェロとピアノのための三つの小品》の第3楽章で、発音数は21個である。
    • 次点:ヴェーベルンの《管弦楽のための五つの小品》第4楽章で、47個。
    • (ジョン・ケージの有名な《4分33秒》は3つの楽章いずれも無音なので鳴る音は0個である。あきらかにコンセプチュアルな関心によるもので、一般的な意味での音楽的な関心によるものではない。フィリップ・コーナーの《一つの音を一回》は、そういう曲である。これは根拠のある極限例と考えるべきだろうが、《4分33秒》と同じカテゴリーに入れておく)
  5. バッハの《ブランデンブルク協奏曲》第3番の、2つの急速楽章に挟まれたアダージョを1つの楽章とみなしていいのなら、上のいずれにおいても記録になる。1小節しかなく、1/10ページ未満で、数秒しかかからず、音符は20個。しかし、これについては第1楽章と第3楽章の推移部と考えてみたい。それに、実演では、記譜どおりにではなく、即興的な感じで拡張されて演奏されているのだ。

トータルで最長

  1. 小節数:ヴァーグナーの《リエンツェイ》(1840, 1843改訂)は全5幕で、序曲408+1244+1936+1487+605+937で、トータル6617小節。(これは1982年のショット版ヴォーカルスコアで、後の短縮版のようである。この版には小節番号のない追加パッセージがたくさんあり――大半には「初版」とある――、134+ 1094+ 163+ 108+ 85=1584小節で、あわせると8201小節になる。多くの除去されたパッセージには代替パッセージがあるので、初版にも改訂版にもすべての小節が含まれているわけではない。それでも――演奏ではなく印刷を基準とするなら――8201小節が採用される。)
    • 次点:ハンス・ヴェルナー・ヘンツェの《ヒルシュ王》(1952-55)は全3幕で、2471+2225+990=5686小節になる。
  2. ページ数:これは版に大きく左右される。ヴァーグナーの《ニュルンベルクのマイスタージンガー》のミニチュアスコア(古いショット版で全3巻)なら1441ページになる。
    • ヤナーチェク《ブロウチェク氏の休暇旅行》のフルスコアは2巻で1006ページ。
    • ムソルグスキー《ボリス・ゴドノフ》のフルスコアは929ページ(1冊では最大記録)。
    • ペータース版の《マイスタージンガー》は817ページ。
  3. 演奏時間:カイホスルー・ソラブジのピアノ作品《オプス・クラヴィチェンバリスティクム》(1930)はだいたい4時間から4時間半かかる。
  4. 曲の数:バルトークの《ミクロコスモス》は6巻153曲からなる。
    • 次点:アイヴズの《114の歌》。
    • バルトークの《2つのヴァイオリンのための44の二重奏曲》。
    • シューマンの《若者のための歌のアルバム》は2部で43曲ある。

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Last-modified: 2014-05-13 (火) 20:58:25 (1109d)