記譜された最短音

通常の音符

  1. アンソニー・フィリップ・ハインリヒの《シルヴィアード》第2集(1825ころ)の「トッカータ・グランデ・クロマティカ」には一〇二四分音符が使われており、二〇四八分音符さえもある! しかし前後を見てみると、実際には桁が一つ余計にあるようなので、現実にはそれぞれ五一二分音符と一〇二四分音符ということになる。この楽節(2/4でGraveとある)には無数の二五六分音符もある。(この音価がどれだけ合理的かは、MM♪=40(つまり♩=20)という遅いテンポであっても一〇二四音符はだいたい12ミリ秒しか持続しないということからもわかるだろう。以下の「最短の音価」も参照。)J. B. Clark, The Dawning of American Keyboard Music (Greenwood Press, 1988), p. 365参照。
    [以下に抜粋。最後の2音には桁が9本ついている。この楽句は全体としては六四分音符1つぶんの長さで、それがまず8分割され(本来なら五一二分音符)、最後の1つがさらに2分割されている(本来なら一〇二四分音符)。画像はWikimediaより]
    http://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/thumb/e/ef/Heinrich_1024th_notes.png/800px-Heinrich_1024th_notes.png
  2. アイヴズの《ピアノソナタ第2番》「コンコード」(1915完成)の第5楽章「ソロー」には、二つの一〇二四分音符で終わる六四分音符の連桁グループがあるが、この「一〇二四分」のところはどうみても誤植だ。)[アイヴズは「誤植も正しい」と言っているので、この誤植は正しい。ただし改訂版では普通の六四分音符になっているということは、単に六四分音符の桁を2つ連ねてしまった結果ということになる]
    http://www.toroia.info/images/Ives1028.png
    • 次点:二五六分音符がヴィヴァルディの《ピッコロ、弦楽器、チェンバロのための協奏曲ハ長調》F. IV n.5[どの曲か特定できず]、ボグスワフ・シェッフェルの《ピアノと管弦楽のための四つの楽章》(1957)、ベートーヴェンの《ピアノ協奏曲第3番》(1800)第2楽章のいくつかの版に登場する[どの版か不明。一二八分音符は沢山出てくるが]。
      (テレマンが二五六分音符を使っているという説もあるが詳細が見当たらない。たぶんヴィヴァルディの作品について念頭が置かれていたのだろう。ただし《ガリヴァー組曲》には二五六音符があるようだが、未確認[IMSLPで確認したところ、ガリヴァー組曲にはなかった])
    • 面白い次点:15:8連符の一二八分音符がベートーヴェンの《ピアノ協奏曲第2番》第2楽章とバルトークのピアノのための《ラプソディ》Sz 26 (1904)にある。音価はほとんど二五六分音符に近い。[ベートーヴェンから以下に抜粋。元ページには15:8拍子とあるが、実際は七連符である。は3/4で、3拍目裏の連桁、最初の音符は付点十六分音符なので残りは三二分音符ぶん、それを7分割するので確かに二五六分音符に限りなく近い]
      http://www.toroia.info/images/Beeth128.png
      [バルトークからの抜粋は以下。これも15:8ではない。付点十六分休符に続く三連六四音符の次に、vivoという指示とともに上段に10連一二八分音符がある。この10連を8分割すると普通の一二八分音符になる]
      http://www.toroia.info/images/BartokRhaps.png

装飾音(アッポッジャトゥーラ含む)~

  1. 一二八分音符の装飾音がアルカンの《三つの大練習曲》第2番、最終小節より3小節前にある。[抜粋は以下。かなり見づらい……。下段2小節目の二つめの連桁F#3, D3, A2。一つめのは下の「次点」にあるように六四分音符の装飾音]
    http://www.toroia.info/images/Alkan128.png
    • 次点:六四分音符の装飾音はそれほど珍しくはない。たとえばバルトークの《ラプソディ》や《二つのエレジー》(1908-9)、ラヴェルの《夜のガスパール》(1908)より「オンディーヌ」、アルカンの《三つの大練習曲》第2番の、最終小節より3小節前。

記譜された最長音(タイも計算に入れる)

小節数と音価単位(つまり四分音符や全音符などの固定された音価の連続)の両方で

  1. ヴェルディの《オテロ》(1887)第1幕で、開幕時から4/4で244小節(四分音符976個分)にわたってオルガンのC2, C#2, D2のトーンクラスターが鳴らされ続ける。

音価単位で次点(大差があるが)

  1. バルトークの《かかしの王子》(1914-17)で、タイでつながったティンパニのトリルの付点二分音符が120小節(四分音符360個分)にわたって同音で続く。ただ、これを入れていいかどうか迷うところ。(タイでつながっているにせよ)実際のところ繰り返しだからだ。
  2. 四分音符140個分のタイでつながった音符は、ベートーヴェンの《交響曲第9番》第2楽章のコントラバスにある(記譜法がやや変わっているので、分割すると最大は四分音符88個分になる)。
  3. 文句なしの次点はラヴェルの《子供と魔法》の第一場のpastorellesのところで、アルト声部の下半分が84小節と2/4、四分音符168.5個分伸ばしている。
    • ベートーヴェンの《交響曲第5番》第3楽章のヴィオラは付点二分音符を43小節、四分音符129個分伸ばしている。

小節数で次点(大差があるが)

  1. バッハの《オルガン・トッカータ ヘ長調》で、54(?)小節(3/8で。四分音符81個分)ペダル音を伸ばしている。
    • 慣習的記譜法で書きなおしたノートルダム楽派のオルガヌムはかなりの強豪候補だが、《オテロ》と肩を並べられるようなものではない。cf. とくにペロタンの「13世紀のトッカータヘ長調」である《地上のすべての国々は》や《かしらたちは集いて》は、どちらも現代風に書くと一つのテノールの音が6/8で50から60小節続くことになる。

単一の音高での最長のトリル

(記譜上も実音上も本当にトリルになっているときのみ。ティンパニのトリルやフィンガード・トレモロは除く)

  1. 小節数では(音価単位では次点)、3/4で10小節つづくショパンの《マズルカ イ短調》B.140。[以下に抜粋。曲の末尾。A4のトリルが2段にわたって続いている]
    http://www.toroia.info/images/MazurkaTrill.png
  2. 音価単位(小節数では次点)では、2/2で8小節の、モーツァルトの《ピアノ協奏曲ニ短調》K. 466の「ロンド」へのベートーヴェンのカデンツァ。[以下に抜粋。最後のほう。E5のトリルがずっと続いているが、速度はPiu Prestoなので実時間はそれほど長くないだろう]
    http://www.toroia.info/images/BeethCadenza.png

複数小節にわたる最長の休符(小節数)

  1. R・シュトラウスの《アルプス交響曲》(1915)のオルガンのパート譜はtacet bisで始まり、練習番号94までつづき、さらに7小節空いている。全体で695小節、休符である。
    IMSLPにあるパート譜はオリジナルのものではないが、むしろもっと凄いことになっている。6ページ半にわたって休符が続いているからだ。ただし「出版された楽譜」ではない]
  2. 音楽作品に実際にみえる最長の休符は、ロジャーズ&ハマースタインによる《マイ・フェイヴァリット・シングズ》のジョン・コルトレーン版の書き起こしに出てくる463小節である(Coltrane plays standards, p. 35)。
    • 次点はブルックナーの《交響曲第8番》(1884-87)第4楽章[第3楽章の間違い]、トライアングルとシンバルのパート。全体で248小節の休符。[以下にパート譜を抜粋。上の3つの組段にある小さな音符は迷子にならないためのもの。80分に及ぶこの交響曲のなかで、シンバルとトライアングルの出番は4段目のfffが2発、それだけ。しかしなぜ音程が1回目と2回目で違っているのだろう?(そもそも五線譜に書く必要はないし)]
      http://www.toroia.info/images/Bruckner8.png

最大の装飾音(アッポッジャトゥーラ含む)

四分音符の装飾音は、それほど珍しくはない。

  1. C・P・E・バッハの著書『鍵盤楽器の正しい奏法について』(1762)には二分音符や全音符のアッポッジャトゥーラが載っていて、少なくとも二分音符については実際に使われていたようだが、実例を知らない。

最多付点

四つの付点

  1. リストの《ピアノ協奏曲第二番》(1839, 1818改訂)の「アレグロ・デチーソ」327と331小節目や、シューマンの《弦楽四重奏曲第一番》(1842)第3楽章の16~17小節目、ヴェルディの《レクイエム》(1874)の「御稜威の大王」356と358小節目、フランクの《前奏曲、コラールとフーガ》(1884)の2と4小節目、ヒンデミットの《交響曲「画家マティス」》(1934)第3楽章導入部、バルトーク《弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽》(1936)の第3楽章80小節目に出てくる。いずれも二分音符につけられている。[以下にリストの曲からの抜粋。ほとんど前打音のようなものか。言うまでもなくピアノ独奏パート]
    http://www.toroia.info/images/Liszt4dots.png
    [次にシューマンの弦楽四重奏曲。スタッカートがついている。こちらはアレグロではなくアダージョなので、十六分音符の音型もあってはっきり音価が認識できる]
    http://www.toroia.info/images/Schumann4dots.png
    • 次点。三つの付点は、シューマン《謝肉祭》(1835)最終楽章、ショパンの《ピアノソナタ第2番変ロ長調》(1840)第1楽章、リストの《マゼッパ》(1827, 1837, 1854?改訂)の1~4小節目、シベリウスの《ヴァイオリン協奏曲》第2楽章などに出てくる。
    • いずれも付点は音符についているが、ハインリヒの《トッカータ・グランデ・クロマティカ》では八分休符に3つ付点がついていて、シュトックハウゼンの《ツァイトマッセ》(1957)では二分休符に三つついている。
      [ベルクの《管弦楽のための三つの小品》のラストは六四分音符で断ち切るように終わるので、最後の小節の,\八分休符に付点が3つ付いている。計算上は二分休符に5つ付けても同じことなのだが、さすがに読みにくい。以下に抜粋。スキャンの質が悪いらしくあまりよく見えないが、上段はシロフォン、下2段は2台のハープで、シロフォンのほうはA#音のオクターヴのトレモロ(音価指定)だが、ハープは最後の最後にE1とE2のfffな六四分音符の一撃をかましている。ここは緩やかなテンポでしかも終りに向かってリタルダンドの指定があるので、シロフォンの三二分音符のトレモロがはっきり確認でき、その半分の音価ということで六四分音符の一撃のタイミングはそれほど合わせにくいものではない。むしろ、ここには出ていないが「ハンマー」もこの一撃に加わるので、そちらに合わせるほうが先決だろう]
      http://www.toroia.info/images/Berg3dots.png

極端な連符

Read 1978に広範な議論と事例がある。

入れ子なしでもっとも複雑なもの

  1. 最大の等分数:58(未記入)がショパンの《十二の練習曲op.25》第7番(1836)にある。[以下に抜粋。下段、たしかに58個の音符が連なっているが、これも連符なのか。小音符だから、どちらかというとカデンツァに近い扱いだと思うが。テンポは♩=66]
    http://www.toroia.info/images/58.png
    • 次点:48(記入)がショパンの《夜想曲第八番op27-2》にある。[以下に抜粋。上段、真ん中やや右寄りに申し訳程度に「48」と書かれている。しかしこの箇所、数字が記入されていない版も多いようだ]
      http://www.toroia.info/images/48.png
  2. 最大の元音数:32がソラブジの《オプス・クラヴィチェンバリスティクム》最終セクションにある(連符は40:32)。[最終セクションなのかどうかわからないが、以下に抜粋。下2段にまたがるコードの連打に、34:32(32個分の長さに34個の音符を入れる)とある。]
    http://www.toroia.info/images/34-32.png
    • 次点:16がこれまた同曲の最終部にある(連符は25:16)[上の抜粋と同じ個所に]。またダヴィドフスキーの《インフレクションズ》p. 13(11:14で小節をまたぐ)も。

最多の入れ子

  1. ブライアン・ファーニホウの《弦楽四重奏曲第三番》(1987)には何回か4段の連符が出てくる。第2楽章だとたとえば6小節目に、八分音符の6:3の、八分音符の5:3の、三二分音符の9:8の、三二分音符の3:2。
    しかし、少なくともこの箇所で、最後の入れ子にどれだけ聴覚的な効果があるかは疑問である。こういうのは故意ではない、あるいは(たぶん)故意のテンポの揺れよりもはるかに微妙なものだ。こういう記譜は本質的にコンセプチュアルである。[以下に抜粋]
    http://www.toroia.info/images/ferneyhoughquartet.png
    • 次点:3段階がシュトックハウゼンの《ピアノ曲I》(1952)にある(3:4, 7:8, 3)。
    • [ストラヴィンスキーの《ペトルーシュカ》にもある]

最大の「圧縮比率」

  1. 小音符で(装飾音符かカデンツァのようなので、それほど印象的ではない):40:4 = 10:1がショパンの《夜想曲嬰ヘ長調第二番》の51小節目に。
    同じくショパンの《練習曲嬰ハ短調第七番》(1836)に58:6 = 9.5:1がある。連符中の音符は八分音符として書かれており、音群は3/4の小節を埋め尽くしている。第一音以外は小さく書かれている。
    • 次点:48:6 = 8:1がショパンの《夜想曲変ニ長調第二番》(1835)にある。すべて小八分音符で6/8の小節を埋め尽くしている。
  2. 小音符なしで:7:2 = 3.5:1がショパンの《前奏曲変ニ長調第十五番》にある。
    • 次点:バルトークの《青ひげ公の城》(1911)、118ページに入れ子の3:2と7:4 = 21:8 = 2.625:1がある。
    • 3:2と3:2の入れ子=9:4 = 2.25:1は多くの作品にある。たとえば以下の「最初の入れ子連符」。

最多段にまたがる連符

  1. ヴァレーズの《イオニザシオン》(1931)の練習番号8に3段またぎがある。ただ、他にも3段にまたがる連符は多いはず。

もっとも複雑な変拍子についてはRead 1978参照。

極端な拍子記号

単純な拍子記号 音価、分子と分母

  1. 最小音価:7/128で、クラムの《ブラック・エンジェルズ》(1970)の第5セクション「死の舞踏」にあり。
    • 次点:シュトックハウゼンの《ツァイトマッセ》(1957)で1/16と2/32がある。2/32はシュトックハウゼンのほかにヴェーベルンの弦楽四重奏曲にもある。
  2. 最大音価:24全音(!)で、テレマンの《ガリヴァー組曲》の「ブロブディングナグ風ジーグ」である。小節内の最小音価は全音。
  3. 最大の分子:142で、シュトックハウゼンの《ピアノ曲IX》の冒頭が142/8である。
    • 同じ曲の2小節目に87/8がある。
    • ナンカロウの《プレイヤー・ピアノのための習作》第3a番(1983?)に47/16がある。同じ曲に43/16もある。
  4. 最大の分母:クラムの《ブラック・エンジェルズ》第5セクション「死の舞踏」で7/128。
    • 次点:同曲同セクションに7/64がある。32は無数にある。たとえばベートーヴェンのピアノソナタ第32番第2楽章の12/32、シュトックハウゼンの《ツァイトマッセ》の2/32, 3/32、ヴェーベルンの弦楽四重奏曲(1938)の3/32など。

複雑・複合・不規則な拍子

  1. 大半が「加算」拍子なのが、バルトークの《ブルガリアのリズムによる舞踏曲》第5番と、《ミクロコスモス》(1926-39)の第6巻、特に2+2+2+3/8。また、メシアンの《ステンドグラスと鳥たち》(1986)で、とくに3+2+2+2/32。
  2. 加算拍子の複雑性:セディ・ドンカというブルガリアの民俗舞踊がある。マノル・トドロフの本に一部出てくるが、7/8+7/8+11/8となっている。ただしこれは(3+4)+(3+4)+(4+3+4)/8に分解できる。さらに4は2+2に置き換えられる。どちらにせよ、分子にある数は25だ。
  3. 二のべき乗[※1, 2, 4, 8, 16, 32, 64, 128…]ではない分母:12/12がFranz Berwaldの《ピアノ木管四重奏曲》(1819!)第二楽章のクラリネットに登場する(全集第13巻29ページ)。(というかたぶん12/8のこと! 12/12は誤植だろう。)
    • Herbert Bruenは、分母に12を使った。たとえば5/12だ。私は、これは普通なら(3+2/3)/8と書くやつだと思う。
      トマス・アデスは2/6拍子を書いていて、三連符のついた半音符が小節に入っている。つまり半音の2/3ということだ。アデスは《Asyla》第2楽章にも1/6を書いている。しかしこういうのは分母ではなく分子をヘンテコに書いて表現することもできる。
      ブーレーズは(2/3)/4と同じと思われるものを書いている。[ブーレーズについては以下に抜粋。《ル・マルトー・サン・メートル》(1955)第3楽章冒頭、3小節目に(4/3)/2がある。まず、ふつうに三連四分音符が3つあり、この音符と同じ音価の四分音符が1つだけある。こういう楽句の場合、たしかにブーレーズ風に書くか、4/3と表記しなければ表現できない。しかし前後の小節はテンポが異なるので、音響だけではこのような拍子だということに気づくことはできない]
      http://www.toroia.info/images/Marteau.png
    • フレスコバルディにも8/9や8/12などは出てくるが、どうも先行するproportionを取り消すためで、8/9や8/12といった音価を表現したいわけではないようである。

極端なスラー(タイやフレーズ記号も)

最長のスラー

  1. 組段の数で:5つの組段にわたるスラー1つと、4つにわたるスラーいくつかがベルクの《ヴォツェック》(1914-21)第3幕第4場のヴォーカルスコアにある。

曲がりすぎのスラー

  1. ソラブジの《オプス・クラヴィチェンバリスティクム》(1930)のIX「インテルルディウムB」(カーウェン版175-6ページ)に、10回曲がるスラーがある。組段3つにわたって広がり、3段を何度も行き来する(私の知るかぎり、一つの組段のなかでの最多段にまたがるスラーでもある)。さらに何回か逆方向に(つまり右から左へ)曲がっている。
  2. アンリ・デュティーユの《ピアノソナタ》(1948)第3楽章「コラールと変奏」の第2変奏にも、10回曲がるスラーがある。やや印象に欠けるのだが、それは、2段を行き来するだけで逆方向にもいかないからだ。
    • 次点:アンリ・デュティーユの《ピアノソナタ》(1948)第3楽章「コラールと変奏」で、8回曲がるところがある。ラヴェルの《クープランの墓》(1914-17)の「メヌエット」には7回曲がるスラーがあり、2段を行き来している。
    • シュトックハウゼンの《ツァイトマッセ》には1段で4回曲がるスラーあがる。ラヴェルの《夜のガスパール》の「スカルボ」(51ページ)には3回曲がるスラーがある。
  3. 曲がりすぎのタイ:バッハの《ゴルトベルク変奏曲》第16変奏(カークパトリック=シャーマー版)では、2回曲がる(!)タイがある。3声部あるうちの中声で、上下の声部のあいだに、タイでつながれた音符の垂直のスペースがほとんどないから。

最多入れ子

  1. 3段階:シェーンベルクの《管弦楽のための変奏曲》(1928)の「主題」、ベルクの《ヴァイオリン協奏曲》(1935)第1楽章(47~48小節目のソロヴァイオリン)と第2楽章(174~5、177小節目のソロヴァイオリンとオーケストラのヴァイオリン)。
    いずれの場合も、もっとも内側はタイである。他はスラーおよび楽節の記号のように思われる。3段階は、たぶん珍しいものではない。

最短音

普通に演奏される音符

  1. ショパンの《練習曲ハ長調第一番》は、ウラジーミル・アシュケナージの2005年の録音では、音符はだいたい80ミリ秒持続している(おおよそ♩=200の十六分音符)。
    注:実際は、出だしの音符の間隔である。おそらく現実の長さはもう少し短い。

その他

  1. ドビュッシー《ピアノのために》(1901)第1楽章には30音のグリッサンドがあり、それぞれ30ミリ秒以下になる! グリッサンドは二分音符の音価のところに書かれている(もちろん、鍵盤楽器のグリッサンドは、他のとちがって、個々の音が別々に聞こえる)。現実的な高速のテンポはだいたい♩=150といったところ。このテンポなら、二分音符は800ミリ秒なので、音符1つは27ミリ秒以下になる。

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Last-modified: 2014-05-24 (土) 06:05:50 (1278d)