天皇家は竜から生まれた

 海幸彦と山幸彦の神話がある。これは誰でも知っているので省略する。

 さて、『日本書紀』神代下第十段(本文)によれば、豊玉姫が彦火火出見尊(ヒコホホデミノミコト。山幸彦)の子供を身ごもったとき、海辺に行った。まさに出産せんとするとき、彼女は火火出見尊に「な看ましそ」と請うた。なぜかというと、竜の姿、つまり彼女本来の姿にならなければ出産できなかったからである。でも、火火出見尊は見てしまったのだ。海出身の豊玉姫は大いに恥じて、子供をカヤで包んで海辺に捨て、海のなかに戻っていってしまった。そして海の道まで閉ざしてしまった……(メリュジーヌ伝説によく似ている)。

 竜から生まれた葺不合尊(ヒコナギサタケウガヤフキアヘズノミコト)は豊玉姫の妹玉依姫と結婚して、後の神武天皇をもうけた(cf. 漢の高祖)。

 第一の一書によれば、豊玉姫が変じたのは八尋の大熊鰐であり、「這いつくばって蛇行していた」という。
 第三の一書によれば、八尋大鰐
 『古事記』によれば、八尋和邇
 紀本文以外はすべて「ワニ」である。また、紀一書には、海神の乗り物としてワニがたびたび出てくる。


中世の注釈書では、彦火火出見尊が行った先はほとんどすべて「竜宮」ということになっている。中世は『古事記』はほとんど省みられず『日本書紀』のみが原典として扱われ、その本文に「竜」とあるのも一因となっているのだろうが、これは仏教の竜王が特に海に住んでいて、竜宮と呼ばれる宮殿には竜女もいる、という伝説が広まっているのも大きな原因となっているのだろう。


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Last-modified: 2007-10-13 (土) 08:50:01 (4418d)