アレリオン†
Alerion, Allerion
地域・文化:西ヨーロッパ
くちばしと歯を持たない鷲。イレリオンとも。
『プレスター・ジョンの書簡』では、プレスター・ジョンの領地に棲んでいる鳥とされる。
古フランス語版(1240~50年ごろ)によると、アレリオン(Allerions*1)はこの世のあらゆる鳥の王であり、その色は火のようで、翼はカミソリのごとく研ぎ澄まされている。サイズはワシよりやや大きいが、世界に二羽、一つがいしか存在しない。アレリオンは40年生きると二つの卵を産み、40日間温めて孵化させる。雛が産まれたのを確かめると、親鳥たちは一目散に海へと向かう。そのときこの地方の鳥も付き従い、親鳥が海に突っ込んで溺死すると、鳥たちは巣のほうへ戻り、40日間育てる。40日経つと雛は強健になり、巣立つことになる*2。
また、ヘブライ語版では、物語はほとんど同じで、アレルオン(Aleluon, אלירואון)、アルレオン(Alreon, אלריאן)、アウルリオリ(Aurulyori, אאורוליולי) という表記が確認できる*3。
『ヘレフォード図』でも、「世界に一つがい」(par in mundo)と注記されたアレリオンの夫婦がアジアの部分に描かれている*4。
英語圏では16世紀ごろからクチバシも脚もない鳥類として実在すると考えられていたが、17世紀からは紋章にも使われるようにもなった。メルリオン(Merlion)とも呼ばれる*5。
関連項目†
参考資料 -