アストミ†
Astomi
地域・文化:ローマ
「口なし」。
プリニウスの引用するメガステネスによると、インドの東境、ガンジス川の源流近くに住んでいる種族。アストミには口がなく、毛が全身をおおっている。綿で着飾っているのだが、口がないので、鼻の穴から吸い込む芳香だけで生きている。だから飲食をすることがなく、様々な植物の根や花、果実といったものの香りを、いわば「食べている」のである。また、彼らは長旅に出るとき、そうした香りのするものを持っていく。メガステネスによると、ふだんよりも強い香りをかぐと簡単に死んでしまうことがあるという(『博物誌』第7巻25)*1。
ストラボンも(ギリシア語の「アストモイ」Astomoi, Ἀστομοιという表記で)メガステネスを引用しているが、それによるとアストモイは穏やかな人々で、やはり焼肉の臭いや花々・果実の香りだけを吸って生きているという。ただし、こう書いているストラボン自身は、メガステネスによるこの証言をまったく信じていない(『地誌』15.1.57)*2。
関連項目†
参考資料 - 資料/24: