ケンタウロス

Kentauros, Centaurus, Centaur
Κένταυρος

地域・文化:古代ギリシア


 人間の上半身が馬の肩口から生えている、という姿をしている怪物種族。
 基本的に性質は野蛮で荒々しく、卑怯でみっともない。例えばある結婚式に彼らが招かれたとき、彼らは酒に酔って花嫁を犯そうとした。居合わせた英雄テセウスは彼らとたたかい、ほとんどを殺したという。中には賢者もいて、ケイロンが有名である。
 ローマ時代の博物学者プリニウスは剥製になったケンタウロスを見たことがあるらしい。

 「ウマ」であることを強調するため「ウマ」を意味するhippo-がついた「ヒッポケンタウロス」「ヒポケンタウルス」と呼ばれることもある。
 キリスト教の教父ヒエロニムスが書いた『最初の隠修士パウルスの生』(c.377-379)によると、砂漠の隠者アントニウスは、優れた修道士を求めて荒野をさまよっているとき、ヒポケンタウルスに遭遇した。アントニウスはこの動物に向かい、神の僕はどこにいるのか尋ねた。するとヒポケンタウルスは、「何かしら外国の言葉をきしらせながら、剛毛の逆立った唇を合わせて、言葉を語り出すというよりはむしろ噛み砕いているふうであったが」、結局右手で方角を指し示した。そしてあっという間に走り去っていった。著者のヒエロニムスはヒポケンタウルスについて、その実在性の確証を持てていない。それは悪魔の化けたものか、「怪奇な動物の多い荒れ野がこの哀れな獣をも産み出したのか」、よくわからないと語る*1

関連項目


参考資料 - 資料/375:124


*1 資料/1051:620.

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Last-modified: 2015-12-09 (水) 22:14:40