アナビバゾン†
Anabibazōn
Ⲁⲛⲁⲃⲓⲃⲁⳅⲱⲛ
地域・文化:マニ教
コプト語『ケファライア』(500年以降、原書は3世紀前半)第69章にみえる、悪の天体。2体いる。日月を除く5つの惑星とともに7つの星辰として悪事をなすとされる。
語源はギリシア語の「アナビバゾーン」(Αναβιβαζων)で、古代ギリシア天文学でいう月の昇交点のことである。『ケファライア』には詳細が書かれていないのでその役割ははっきりしないが、昇交点は太陽と月の軌道が交わるところであり、それゆえ「蝕」の起こるポイントなので、日蝕・月蝕を起こす悪魔だと考えられていたと思しい。ギリシアでは「アナビバゾーン」が昇交点、「カタビバゾーン」が降交点で、正反対の位置にあるのだが、マニ教では前者が二つカウントされている。ミトラス教研究者のロジャー・ベックによると、昇交点が人格化・悪魔化されるのは『ケファライア』が最初期のものだという。
関連項目†
参考資料 - 資料/1077:178-179, 304: 資料/1078:63-64,180-181; 資料/1079