アサック†
Asakku
地域・文化:アッカド
アサックー(Asakkū)、アシャック(Ašakku)。
シュメール語アサグの借用語。表音的に表記されるが、表意的にÁ.SÀG.とも表記される。
語源が「隣にいて打つ者」とされることもあるが、民間語源説である。
アサックは、祓魔文書の中では病気を引き起こす悪霊の一種であるとされた。そこではアサックの引き起こす病気はアサック病とされている。
しかし医学関係の文書にアサック病という名前は見当たらず、おそらくアサックが引き起こしたと思われる病状に対してそのような名称がつけられたのだと考えられている。
また、アサックには様々な種類が知られていた。ある楔形石板にはなんと97ものアサックの名前が列記されていたらしいが、ほとんどが欠損して判別できない。わずかにクーシュとクガレディンナという2つの名前のみが残っている。また、他にもアサックの固有名?がいくつかの石板から知られている。その大半はおそらく名前のみが知られているものなのでリストアップするのはほとんど無意味だが、とりあえず「関連項目」に名前を羅列しておく。
また、あるアッカドの伝承では「7人のアサック」はアヌ神が創造した存在であり、誕生日はキスリム月の第21日であるとされた。そしてその日は「悪い日」と呼ばれたらしい。彼らは「恐れを知らぬ戦士」と呼ばれ、後に戦闘神ニヌルタによって退治された。おそらくこの神話は叙事詩『ルガル』の中のアサグのアッカド版なのだろう。
なお、前9世紀新アッシリア時代のアッシュルナシルパル2世によって立てられたレリーフのニヌルタと怪物の戦いの図にある、後脚が鳥で翼が生えているライオンの怪物(英語でライオン=ドラゴン)はアンズーかアサックではないかと考えられている。また、一部で有名な「太陽頭の1つ目怪物(最古の隻眼図像)」もアサックではないか、という説がある。ただし具体的な根拠はない。
関連項目†
参考資料 - 資料/CAD:s.v.; 資料/271; 資料/126