*モロク [#d0b0489a]
Moloch, Molech
מֹלֶךְ
地域・文化:悪魔学
モーレフ(Mōleḵ)、モレク。
名の意味はmelech、すなわち「王」である。しかし、ラス・シャムラ書板には子供の犠牲について言及していないため、現在ではモロクは儀式の名称であったと考えられている。
モレクは、旧約聖書ではアンモン(死海東北部)人の邪神(『列王記上』11:7)として取り上げられている。ヤハウェの敵対神だった。旧約聖書『レビ記』には、「自分の子を一人たりとも火の中を通らせてモレク神にささげ、あなたの神の名を汚してはならない(18:21)」とある。イスラエルの人たちは、カナアンに定住し始めた頃からモレクとヤハウェを同一視し、混淆宗教の様相を呈し始めた。預言者たちはこのことを激しく非難したが、ヨシアの宗教改革によってもモレク崇拝は絶滅なかった。
古代には、モレクは雄牛の頭を持つ人間のブロンズ像の中に現れた。生贄を受け取るためにその腕は長くなっているという。この像は中が空洞になっており、それは熱せられて子供たちは生け贄として投げ込まれた。中には七つの戸棚が造られており、一つには小麦、二つ目には雉鳩、三つ目には牝羊、四つ目は牝山羊、五つ目は子牛、六つ目は牡牛、七つ目は子供を入れるものだった。太鼓やシンバルが打ちならされ、子供たちの叫び声はかき消されたという。
プランシーの『地獄の辞典』では、「涙の国の君主」であり、地獄会議のメンバーである。
聖書では地獄のことをゲヘナ(Gechinnom)というが、この語源はヒンノム(Hinnon)の谷で、モレクの祭壇があった。
関連項目†
参考資料 - 1、資料/356; 85:;89: