レギオン†
Legiōn
Λεγιων
地域・文化:キリスト教
レギオーン。
人間に取り憑いていたが、イエスによって追い払われた悪霊の一群。
『マタイによる福音書』第8章第23~34節、『マルコによる福音書』第5章前半、および『ルカによる福音書』第8章後半によれば
ある日、イエスたち一行はガラリヤ湖畔のゲラサ人(マタイではガダラ)たちの地方に着いた(ちなみに、この直前にイエスは突風・嵐を静めている)。すると、悪霊に取り憑かれているものが、イエスのところにやってきた。彼(マタイでは2人)は普段は墓場に住んでおり、非常に凶暴で、誰もそのあたりの道を通ることができなかった。この人は何度も足かせや鎖で縛られてはいたが、いつも鎖を引きちぎり、足かせを壊して荒野に行ってしまい、誰もこの人を鎖でつなぎとめておく事はできなかった。彼は昼夜問わず墓場や山で叫びまくり、石で自分を打ちつけていた。しかも裸。
はじめはこの悪霊に取り憑かれた人はイエスから離れたところにいたが、イエスが「汚れた霊、この人から出て行け」と言ったのでこのように言った。
「かまわないでくれ。苦しめないでくれ。まだその時ではないのに(マタイ)」
そこでイエスはこの悪霊の名を尋ねた。すると、
「名はレギオン。大勢だから」
という答えが返ってきた。レギオンはこの地から追い出さないでほしい、底なしの淵に行けと言わないでほしい(ルカ)、とイエスに懇願した。遠いところ(の山)で、豚の群れが餌をあさっていた。レギオンは、できればあの豚に乗り移らせてほしいと願った。イエスがそれを許すとレギオンはその人から抜け出て2000匹ほどいた豚たちの中に入り込んだ。ガダラの豚の群れは突如として暴走し、崖から落ちて湖で溺れ死んだ。その代わり、取り憑かれていた人は正気に戻って服を着てイエスの足元に座った。
語源はそのままで「大きな数量」。英語でもそのままlegionとして使われている。当時の用語としては、ローマの軍隊組織のなかの構成単位。歩兵を主体に騎兵を含む一種の軍団であった。新約の時代にはおおよそ5000人程度だったと考えられている。
関連項目†
参考資料 - 資料/356