むかでくじら†地域・文化:日本 貝原益軒『大和本草』にみられる謎の海棲動物。 『大和本草』巻十三、四十一丁裏 ムカデクジラ 長大ニテ海鯂ノ如シ背ニ鬣五アリ尾二ニワカル足左右六凡十二足アリ 肉紅ナリ食之殺入有毒 ○本草鴆集解別錄曰海中有物赤色状如龍名海薑亦有毒甚於鴆羽是ムカデクシラノ類カ 乎凡有毒物ヲ知テ不可食性不知物ヲ妄不可食 おおよそこんな意味である。「長大で、クジラのようである。背中にタテガミが5つある。尾は2つに分かれている。脚は左右に6つ、計12ある。肉は赤く、これを食べると人を殺す。『本草鴆集解別録』によると、海中には竜のような赤いものがあり、海薑という。これは鴆*1の羽ほどの毒がある。これはムカデクジラの仲間だろうか。云々」。 『鯨史稿』*2巻之二 蜈蚣鯨 蜈蚣鯨此方漁人云鯨魚之一種別類有リ蜈蚣鯨ト名クルハ形チ鯨児ニ似タリ 赤色脊五鬣有岐尾ニテ短脚十二之行于水中ニ有リ形チ蜈蚣ニ似タリ 故ニ蜈蚣鯨ト名ク大毒漁人甚シ之ヲ恐ル云 日東魚譜 按ニコレ固ヨリ鯨ノ種類ニアラスシカレトモ俗ニ鯨ノ一種ト云説アルニヨリテ ・・・此ニ附シテ異聞ヲ廣ム 『日東魚譜』は今のところ確認できず。この本は日本初の魚類図鑑らしい。 『唐土訓蒙圖彙』*3巻十四 海薑 そのかたち龍の如く鬣あり足多し毒ありくらふべからず和云むかでくじらなるへし 類例などの詳細については竜とドラゴン:ムカデクジラ参照のこと。 関連項目†参考資料 - |