付喪神†
Tsukumogami
つくもがみ
地域・文化:日本・全国
室町期の物語において、器物の変化した化け物のこと。
古い動物の変化としての付喪神†
古くなった動物の類が人をたぶらかすことも付喪神といったらしい。
これの古い例としては、正応4年(1291)の奥書がある河野美術館蔵『伊勢物語註 冷泉流』は、奥書の年代が正しいかは不明だが、冷泉家流伊勢物語古注の原型に近いものだったと推測されている。63段の注には、
もゝとせに一せたらぬつくもかミと云ハ、百鬼夜行神の事也。本文云、狸𤞟狐狼之類満㆓百年㆒」致㆓人㆐恠喪㆒。故号㆓属喪神㆒畏怖也。是ハ百鬼夜行神の九十九より神通を現して、人に煩をなす様に、此人も老たる人に我を思かけて、煩ハしき事を思ハすると云也。されハ其になそらへて、つくもかミと云也
とある*1。
また、『冷泉家流伊勢物語抄』(宮内庁書陵部蔵)のもほとんど同じで、
つくもがみとは、百鬼夜行の事也。陰陽記云、狸𤞟狐狼之類百年致人恠喪、故名属喪神(ツクモカミ)といへり。是はりとうころうとう[狸𤞟狐狼等]のけだ物、百年いきぬれば色々のへんげ[変化]と成て人にわづらひをあたふ。是は必夜ありきてへんげをなすゆへに、夜行神ともいふなり。九十九といふ年よりへんげそむる也。仍百年に一とせたらぬつくもがみといふ。女九十九にはあらねども夜ありきて業平をのぞきてわびしく心くるしき喪(ワザハイ)をつくる故に付喪神(ツクミガミ)といふなり。……夜行神事、実義也
とある*2。
化け物としての付喪神†
上記のような中世の伊勢物語注釈に影響を受けてか、和歌や連歌などの制作に利用された雅語集『増補大和言葉』(1681)などでは、「つくもかミとハ、はけ物の事を云」のように*3、かなり大雑把な説明が与えられることもあったようである。
関連項目†
参考資料 - 資料/222: