バル・エッガーラー†Bar ʾEggārâ
ܒܖ ܐܓܖܐ 地域・文化:シリア 「屋根の息子」という意味。 一同が群衆のところへ行くと、ある人がイエスに近寄り、ひざまずいて、言った。 「主よ、息子を憐れんでください。てんかんでひどく苦しんでいます。度々火の中や水の中に倒れるのです。お弟子たちのところに連れて来ましたが、治すことができませんでした。」 イエスはお答えになった。 「なんと信仰のない、よこしまな時代なのか。いつまでわたしはあなたがたと共にいられようか。いつまで、あなたがたに我慢しなければならないのか。その子をここに、わたしのところに連れて来なさい。」 そして、イエスがお叱りになると、悪霊は出て行き、そのとき子供はいやされた。 この「てんかん」(ギリシア語では「月による病気」)の部分が、シリア語ではバル・エッガーラーと翻訳された。メソポタミア文明以来、西アジアでは、癲癇は悪霊が引き起こすものともされており、その悪霊は、シュメール語では「屋根の主」と呼ばれていた。この伝統が紀元後のシリアにまで引き継がれ、この名称が翻訳に用いられたらしい。 D&Dなどに登場する悪魔バル・ルグラは、おそらくこの悪霊の名称の誤記によるもの。 関連項目†参考資料 - 資料/1074 |