ツィルニトラ†Zirnitra, Zirntra
地域・文化:ドイツ・メクレンブルク 日本では「ジルニトラ」のほうが通りがよいが、原語に基づくならば「ツィルニトラ」のほうが近い。 18世紀後半にドイツのプリルヴィッツで「発見」された、蛇型の偶像のこと。現在では、プリルヴィッツで発見された偶像全体が当時の捏造であったことがわかっている。 プリルヴィッツを含む現在のメクレンブルク=フォアポンメルン州には、12世紀までキリスト教化されていないスラヴ人の部族が多く居住していた。当時の年代記によると、彼らの中心的な神殿はアルコナ(リューゲン島)とレトラにあるものだったが、後者の場所はわかっていなかった。そのため中世後期から場所探索が行なわれ、さまざまな地点が候補に挙げられたが、現在にいたるまで、はっきりとはわかっていない。そのような探索のなかでプリルヴィッツから大量の異教時代の偶像が発掘されることにより、俄然この地が異教時代の神殿であるとして注目が高まったのである。たとえばポーランド人作家のヤン・ポトツキも18世紀終わりにこの偶像群についての著作をフランス語で著している。 「ツィルニトラ」という呼称は、蛇型の偶像に刻まれた「ヴェンド・ルーン文字」によるものである。ドイツ語で[ts]に当たる文字はzであるため、最初の報告以来、ラテン・アルファベットではZirnitraと綴られている。このことを知らずにローマ字読みすると「ジルニトラ」という表記になる(世界で最初に「ジルニトラ」と読んでしまったのは、何を隠そうこの私です。お恥ずかしい)。 関連項目†参考資料 - [[資料/]] |