バルフート

Balhūt

地域・文化:アラビア


 一般的に知られている../バハムートの別綴り。

 ヤークートの『諸国集成』(1228)第1章によると、大地を支える天使の足場である鋼玉が置かれている牡牛が足を委ねるクムクム(砂丘?)を、これまた支える超巨大な魚。アッラーは、クムクムを支える場所がなかったのでバルフートを創造したのだという。クムクムはこの魚の背びれに置かれた。この背びれは翼らしく、魚の背中のまんなかにある。バルフートはさらに「不毛な風」の背中にあるが、七つの天・七つの大地と同じくらい太い鎖によって束縛されており、その鎖は神の玉座につなぎとめられている。
 あるとき../イブリースがバルフートのところにやってきて、「アッラーはお前より巨大な生き物を創造しなかったようだ。なぜ世界を揺さぶろうとしないんだ?」とそそのかした。そこでバルフートが世界を揺らしてみようと思ったとき、アッラーはブヨを送り込んで魚の目玉を刺した。それに気を取られ、バルフートは結果として世界を揺らすのを止め、アッラーに従った。また別の話によると、アッラーが剣のような魚を送り込んだので、バルフートはそれを畏れて見つめることに専念したのだという。

 ただしヤークート自身はこの物語を信じていない。

関連項目


参考資料 - 資料/1005:34


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