*キマイラ [#d0b0489a]
CENTER:&size(25){Chimaira, Khimaira, Chimaera, Chimera&br;Χίμαιρα};
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地域・文化:古代ギリシア

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 合成生物を意味するキメラ、フランス語のシメールの語源。&br;  体の前の部分はライオン、胴は山羊、そして口から火を吐く怪物。また、体はライオンで、背中から山羊の頭が生え、尾は蛇である、ともされる。で、この怪物が地域を荒らしていたのだが、それを退治しに英雄ベレロポンテスがやってくる。彼はペガソスにまたがってキマイラの炎の届かないところから矢を打ち込んだ。そして弱ったところで最終的に鉛を投げ込み、その鉛が自身の炎によって溶かされて体内を焼いたのであった。&br; キマイラの図像自体はギリシアにほど近いトルコの遺跡で確認されており、季節を象徴するものだったとも言われている(ただし、これは根拠のない仮説のようである)。
 合成生物を意味するキメラ。~
  体の前の部分はライオン、胴は山羊、そして口から火を吐く怪物。また、体はライオンで、背中から山羊の頭が生え、尾は蛇である、ともされる。で、この怪物が地域を荒らしていたのだが、それを退治しに英雄ベレロポンテスがやってくる。彼はペガソスにまたがってキマイラの炎の届かないところから矢を打ち込んだ。そして弱ったところで最終的に鉛を投げ込み、その鉛が自身の炎によって溶かされて体内を焼いたのであった。~

 ギリシア神話に現れる数多の怪物のなかでもかなり無理な格好をしているキマイラであるが、実際、ソクラテス以前すでにキマイラは「存在しないもの」の代名詞として扱われていた。ゴルギアスは『あらぬものについて、あるいは、自然について』のなかで、[[../スキュラ]]やキマイラなどを「あらぬもの」(存在しないもの)の代表として挙げているのだ(セクストス・エンペイリコス『学者たちへの論駁』第7巻80に引用(([[資料/1042]]:38.)))。

その伝統はヘレニズムを経て中世ヨーロッパのスコラ学にまで受け継がれており、単純化すると「この言葉はどのように存在しないものを参照しているのか?」という言語哲学的な問題で「キマイラ」という名詞がよく取り上げられた。この伝統は少なくとも16世紀あたりまで続いていたらしい。~
 なお、初めて「存在しないもの」としてキマイラに言及したというゴルギアスから中世盛期のビュリダンに至るまで、どのようにキマイラが議論されてきたかを''キマイラ本人''が書き残していた手稿も、現在では読むことができる(([[資料/1040]].))。~
 現代の分析哲学では見たところペガサスがキマイラに取って代わったようである。
**関連項目 [#ndde496f]
-[[../ペガソス]]、[[../ネメアのライオン]]、[[../エキドナ]]、[[../テュポン]]、[[../スフィンクス]]
-[[../ペガソス]]、[[../ネメアのライオン]]、[[../エキドナ]]、[[../テュポン]]、[[../スピンクス]]

-[[キーワード/合成獣]]
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参考資料 - [[資料/375]]:105


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