ベヘモト

Bǝhēmôṯ, Behemoth
בְּהֵמוֹת

地域・文化:悪魔学


 旧約聖書に登場する「巨大な獣」。河馬とか水牛とか象とかいわれる怪物。
 聖書時代のヘブライ語に発音を近づけると、ベヘーモースになる。
 ベヘモトという名前は、ヘブライ語で「獣」を意味するベヘーマー(bǝhēmāh)に女性名詞の複数形接尾辞ôṯをつけた単語である。これがそのまま合成された単語ベヘーマーホースにならないのは、語尾がāhの場合はそれを除いてôṯをつける、という規則があるから。・・・・・・まあ、つまり、ベヘモトは「獣たち」(英語だとbeasts)という意味になる。一頭しかいないのに複数形であるのは、ベヘモトがあまりに巨大なためであるから、とされている。余談ながら、ベヘーマーはそれ自体が集合名詞として扱われており、複数扱いされることもある。
 聖書の「ヨブ記」の最後のほうでヨブの前に現れた神は、延々とこの怪物のことをでかい凄い強い敵なしと褒めている。ベヘモトは特に神に敵対する悪魔というわけでもなかった(『ヨブ記40:15-24』)。それによれば、ベヘモトの骨は金属のように硬く、尾は杉とおなじくらい太く、川の水をすべて飲み干すことが出来る。ユダヤ教の伝承によれば、ベヘモトは天地創造の5日目につくられ、山々の真中に置かれたという。それでこの獣もレヴィアタンと同じく終末の日に清い心の人たちの食料となることになっている。

 中世ヨーロッパでは、ベヘモットは闇を司るものとされ、腹の突き出た直立した象のような姿をしている。欽定訳聖書の脚註では、「一部のものが考えるような象である」とされている。人間を暴飲暴食の罪へと導く。ブレイクは、ベヘモットを無意識の怪物だと考えた。ボダンは、これこそファラオだと考え、ド・ランクルは正体不明の巨大生物だという。また、彼によれば犬や狐、象、狼などに化けることが出来るという。

関連項目


参考資料 - 資料/356; 資料/85:; 資料/181:; 資料/125:


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